内容説明
伝説の名著、完訳なる!グノーシスの存在論的解明。古代末期の精神を襲った覚醒体験、はじまりの衝撃がもたらした波紋を描き、精神の秘密に肉迫する。神話となった救済の物語から、神秘主義の哲学へ。グノーシスと名づけられたその精神の歩みを、フィロン、オリゲネス、そしてプロティノスへとたどる。見えないもの、語りえないものに出会った初発の衝撃はその後、どのような逆説に面することになったのか。存在論的に解明されたそのドラマこそ、近代の根となった精神の命運を語っている。
目次
序論 客観化とその形態変化の問題に寄せて
第1章 グノーシスの領域における古代の「徳性」概念の解体
第2章 「終末」の先取りとグノーシス的な「徳性」概念の形成
第3章 アレキサンドリアのフィロンにおける神認識、見神、完成
第4章 後二世紀から三世紀へ、あるいは神話論的グノーシスから哲学的・神秘主義的グノーシスへ
第5章 後三世紀の三つの体系 その1 オリゲネス
第6章 プロティノスに関する断章
著者等紹介
ヨナス,ハンス[ヨナス,ハンス] [Jonas,Hans]
1903年、デュッセルドルフ近郊のユダヤ人家庭に生まれる。28年、M・ハイデガーとR・ブルトマンの下で博士号取得。35年、エルサレムに移住。40年、英国陸軍が編成した反ナチスのユダヤ旅団に入営し転戦。42年、母親をアウシュヴィッツで失う。戦後は、カナダ、アメリカで教鞭をとる。93年、没
大貫隆[オオヌキタカシ]
1945年生まれ。専攻、新約聖書学・グノーシス研究。東京大学大学院人文科学研究科西洋古典学専攻博士課程修了。ミュンヘン大学にてDr.theol.取得。現在、東京大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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