内容説明
国境を越え、規範を越え、性差を越え、明治の息吹の中に立ち上がる、この巨人の歩みを見よ!性愛のアジア主義×根源的なフェミニズム×元始の一元論。
目次
証言 幽蘭の生(惨憺たる幽蘭女史の懴悔―影に添う三十七の黒法師;思い出した人 女優本庄幽蘭 ほか)
語る幽蘭(私の見た男子;最近に得たる妾の信仰 ほか)
音に聞く幽蘭女史(大正婦人録;三尺の水 ほか)
幽蘭評判記(さまざまな幽蘭;消息)
著者等紹介
江刺昭子[エサシアキコ]
1942年生まれ。早稲田大学教育学部国語国文科卒。出版社勤務を経てノンフィクションライター、女性史研究者。72年、『草饐―評伝大田洋子』で第12回田村俊子賞受賞
安藤礼二[アンドウレイジ]
1967年、東京生まれ。文芸批評家。多摩美術大学美術学部芸術学科准教授。著書に、『神々の闘争折口信夫論』(2004年、群像新人文学賞、芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞)、『光の曼陀羅―日本文学論』(2008、大江健三郎賞、伊藤整文学賞受賞)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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AR読書記録
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“明治後半から昭和・戦前にかけて、破天荒な生と思想の軌跡を残した一人の女性”本荘幽蘭。主にスキャンダル方面からとはいえ長く世間の耳目を集めた存在でありながら、今にその名はほとんど知られることなく。この人をフェミニズムの視点から語ろうとするのはなんか違和感があるな。ただもう納得のいかないことは納得できない、やりたいことはやる、それを押し通した結果として、女性にまとわりついてきた桎梏が浮かび上がった、みたいな。そちらではなく、折口信夫との関わり、“アジア主義”という内容が気になる。研究の深化を待ちたい。2016/02/16