内容説明
宗教思想史に転換を印した神学の巨人、その“可能性の中心”を今日に生かすために。主著『教会教義学』と正面から向き合い、生涯を賭けた思索の構造をたどり、そのダイナミックな力動を支えた、啓示の根幹に迫る。「死から生へ」―現代の危機を生きのびる道を照らす、“信”に発する逆転のヴィジョン。
目次
死の陰の谷において―二一世紀にバルトを読む
第1部 永生と今生のあいだ(時間と永遠;聖霊・魂・肉体;人間の死とキリストの死)
第2部 人間世界の自己破壊を超えて(生命への畏敬について―バルトとアルバート・シュヴァイツァー;自殺について―バルトと滝沢克己;戦争について;人生の一回性について)
第3部 正義・和解・未来(倫理の源泉としての義認―バルトとハンス・キュンク;生命の光;希望に基づく闘争―『教会教義学』の未完の終末論;バルトの唯一の終末論講義)
死から生へと向かう希望
著者等紹介
福嶋揚[フクシマヨウ]
1968年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科倫理学専攻博士課程修了、テュービンゲン大学神学部を経て、ハイデルベルク大学神学部にて神学博士号取得。青山学院大学、白百合女子大学、東京神学大学にて兼任講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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うえ
6
「バルトの終末論に基づけば、死者と生者の共同体はどのように捉え得るのだろうか…バルトは魂の「相対的な」不死性、すなわち完全に死にきることのできないような、死と復活の狭間におかれた人間存在の影に言及している…『キリスト教講義』を含むバルトの20年代のテキストの中には、永遠の中に保たれた死者と生者の同時存在、死後の魂の居場所をめぐるカルヴァンとの対話、それどころか死者と生者の相互影響についての言及さえ見出せる…「生から死の中へ、死から生の中へ!」バルトが1920年に語った逆説的な希望の言葉…」 2019/01/17