著者等紹介
司修[ツカサオサム]
1936年生まれ。独学で絵を学び、絵画創作にとどまらず、絵本、書籍の装丁、また小説の執筆にと幅広く活躍する。絵画の手法は、初期の抽象画・シュルレアリスムの画風から、世界各地への旅で生まれた具象画、そしてコンピュータ・グラフィックスを駆使した作品まで、多岐にわたる。99年より、法政大学国際文化学部教授を務める。78年、『はなのゆびわ』などで、小学館絵画賞受賞。小説では、88年、「バー螺旋のホステス笑子の周辺」(『海燕』掲載)で芥川賞候補となったほか、93年には「犬」(『影について』所収)で川端康成文学賞を受賞する。また、2007年『ブロンズの地中海』で毎日芸術賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ワッピー
33
恐い話を求めて手に取るも、horrorではなくterrorでした。津波で夫を失ったばさまが赤い紐を手に月明かりのなか、妹を喪って慟哭する魂と対話する表題作、島を蹂躙した蝗軍と島娘の悲劇「16歳の死」、加計呂麻島幻想譚「ガリバーがやってきた日」、薩摩藩の支配時代と変わらぬ体制下で再生産される差別「うらぎり」、放射能の雨を恐れ、美のない絵を描く「珊瑚の雪」を収録。南の島の民俗、虐げられた娘の古謡を知れたものの、島々に積もった悲しみと怒りの感情には言葉を失う。「ねえ神さま どこで遊んでいらっしゃるのですか?」2023/09/23
korrya19
7
「死」にまつわる短編集。 それはあの津波による死であったり、神話となった死であったり、自殺であったり、戦争によるものであったり、そして放射能によるものであったり。 形こそ違えど、それらが皆、不本意で不条理なものであることだけは確かだ。 難しい内容ではない。ただ、読み飛ばさず胸の深いところで受け止めるべき作品だと思う。2015/01/02
ろま〜な
2
私小説と幻想の世界が入り交じったような、独特のおもしろさがある司修作品。怖いのは幽霊ではなく、地震や原発といった現実であるところに、強いメッセージが込められています。芸術家の感性がとらえる世の中への不安や批判は、ストレートで強く心に刺さります。作者への想いなど詳しい感想はブログで→http://tubam.kamakurablog.com/Entry/93/2015/01/31
林克也
1
あの、大地震が呼び出した作品。「幽霊さん」とは、こちら側の人にとって得体の知れぬ怖いモノのことであり、古事記の神話の時代も、あの戦争のときも、その後の冷戦時代も、そしてあの震災が起こった今も、いつでもどこにでも蠢いている、人々を苛むモノ(ヒト)のことを、作者は言っているのだと思う。 宮澤賢治、ピンクフロイド、山之内獏・・・。 2014/06/25
釦
0
小説の凄みを見た。幽霊さん、ガリバーがやって来た日、うらぎり、の三篇が特に。2016/10/12
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