内容説明
「資本と国家への対抗運動」は何に行き詰まったのか。20世紀最後の、そして21世紀最初の日本の社会運動体、NAM(New Associationist Movement)。思想家・柄谷行人が提唱し、著名な知識人や若者が多数参加した「資本と国家への対抗運動」はなぜ、わずか2年半の短期間で解散したのか。解散から20年、運動の最初期に加入して末期には組織中枢で実務を担当した著者が、運動の「現場」の視角から総括、問題提起する。新たな社会運動の礎となるために―。
目次
第1章 過去と未来の間で
第2章 運動への模索と『批評空間』
第3章 NAM結成
第4章 NAM生成
第5章 市民通貨Q
第6章 くじ引きによる代表選出
第7章 解散
第8章 未完の抜本改革
第9章 NAM再考
補論 『トランスクリティーク』、その実践への転形
著者等紹介
吉永剛志[ヨシナガタケシ]
「使い捨て時代を考える会/安全農産供給センター」事務局。元NAM関心系LETS連絡責任者、センター評議会実務案件議事進行。1969年生まれ。早稲田大学大学院文学研究科修士課程修了(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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月をみるもの
7
Twitter と山奥ニートは、どちらもまさに NAM の正当なる後継者なんじゃないだろうか。。。。 https://bookmeter.com/books/158478282021/07/15
kentaro mori
5
とてもとても面白かった。「資本と国家への対抗運動」は、その始まりから崩壊していた・・・とはいえ、思考するだけでなく実行した柄谷は立派だと思うし、現在ならNAMのような共同体は可能なのではないかと強く思う。「運動」したくなる書。●理論が困難に突き当たった実践の場を再構成したい。そしてその困難を実践的に克服することを目指したい。この著はそういう意識のもとで書かれている。2021/02/25
ask_smmt
2
資本と国家に対抗する運動体であるNAMが直面した問題を丁寧に総括した本。NAMの直面した問題は現代から見ればくだらないもののように語られがちだったが、問題点をより具体的かつ詳細にしたことによって、問題の根深さをとらえることができた。資本主義的な契約でもなく、国家の定める制約もなしに、わたしたちがどう約束したり協力したりできるのか。わたしも試行錯誤していきたい。2021/08/26
寛理
1
この本は素晴らしかった。高いけど、買った方が良い。読者に考えさせ、行動させる本がいちばんよい本だと思う。2021/03/04
tabine_sora
0
中心があって中心がない、権力を分散し対立を宙吊りにするetc. 批評はしばしばかように理念を称揚する。ではそれをいかに実践するのか。「俺はどうする、お前はどうする、そこから関係性を作りだそうじゃないか、組織がどうのこうのはそのあとで、まだまだ先の話じゃないか」 農業系が活発な連携と展開を見せたことは興味深い。「有機農業運動の目標は、農産物はいのちの源であり、そうであるからには、脱商品化を目指し、そのために人と人との関係性を変えていくことにある」農業に限らずモノを通じて関係性をいかに構築できるか、ということ2025/02/05
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