出版社内容情報
政治だけじゃない。
貧困が広がる社会を、私たち自身が変えることができる。
下流老人、貧困女子……。一億総中流社会の崩壊がより深刻な今、貧困問題はだれにとっても人ごとではありません。ではどのようにしたら、そうした問題を解決したり、未然に防いだりすることができるのでしょうか。長く貧困問題の現場に関わり、さまざまな提言や制度改革に取り組んできた著者が記す、貧困社会を変える希望の1冊。用語解説もつき、中学生くらいからでもよみやすく、わかりやすい内容です。
目次
第1章 私が取り組んできた生活困窮者支援
第2章 権利としての生活保護
第3章 バッシングと差別
第4章 拡大する住まいの貧困
第5章 自立支援を問う
第6章 対談・藤田孝典×稲葉剛
著者プロフィール
稲葉剛(イナバツヨシ)
1969年広島県生まれ。NPO法人自立生活サポートセンター・もやい理事。著書に『鵺(ぬえ)の鳴く夜を正しく恐れるために―野宿の人びととともに歩んだ20年』(エディマン、2014年)、『生活保護から考える』(岩波新書、2013年)、『ハウジングプア』(山吹書店、2009年)など。
上記内容は本書刊行時のものです。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Akihiro Nishio
26
知人の知人の本。現在、自分の知る範囲では、行政は貧困問題に概ね真剣に向き合っていると思うが、昔はそうではなく、筆者ら先人が築き上げてきたことを知った。特に住宅確保が重要であることが強調されている。最後に対談で少し述べられているが、介護職の労働組合を作ろうとしているのだとか。それはいいが、看護協会みたいな巨大な職能協会を作らないと待遇の改善は部分的だろう。看護師が政治活動をして、長い時間をかけて社会的地位を上げてきた歴史を振り返ると、介護士は甘いなと思ってしまう。全体的には支援者自身にも振り返りを求める良本2017/10/05
Miki Shimizu
5
本の装丁はカワイイ。中身はカワイイ話ではないけど、笑。「稲葉剛のソーシャルワーク入門講座」という連続講座を本に書き起こしたもの。お話の中にはここ最近のいろんな事件やいろんな人の発言などが引用されてる。参考文献も載っているので、ここから、広げていくって感じかなー。2016/09/26
ねこっく
4
現場に出ないと社会の問題は学べない。当たり前のことであるが、勉学にある種亡霊のように「憑りつかれて」いると忘れてしまいがちだ。机上の偉そうな理論よりまずは目で見て話し、メモを取る。貧困問題を研究している学者の方々の何がすごいかと言うと、偉くなればなるほど現場から離れるのが組織の悪い特徴なのだが、それでも足しげく現場に初心から一貫して通い続けているところである。本著著者の稲葉剛氏に昔、電話でインタビューさせていただく機会があったが、飾らず誠実に答えてくださったのが印象に残っている。こういう人が社会を変える。2021/11/21
テト
3
一度転げ落ちると上がるためには大きな壁があり、社会リソースがどんどん制限される...世界の片隅を実際に感じておかしな所を地道に直していくこと、そして仲間を作っていくこと、染み込んだ間違った考えに気がつき、自分のことのように感じていきたいと思った。2021/08/16
午後
2
貧困問題を、労働問題、住宅問題、社会保障等の制度の問題などの多角的な視点から捉え直し、講義調で噛み砕いて説明した良書。なかでも、貧困問題を人権の問題として捉える著者の姿勢には感銘を受けた。貧困問題の解決に向けて、本当に誰でもができることは、安易な自己責任論や弱者の正義を振りかざすことではなく、差別や偏見、バッシングをなくすこと。つまり人権意識を自分に根付かせること。ハウジングプアなど、知らなかったキーワードも知ることができた。2018/05/28
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