感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
瓜坊
16
この人の俳句を見かけて気になっていたので、手にとった。原稿用紙一枚に収まるよう書かれた、ですます調の詩の数々。頻出する「死んだ子どもたち」という言葉と、太古からの悠久の時間や大自然の景を表す言葉が散りばめられている。宮沢賢治の童話のよう。死んだ子どもたちという半透明の存在が現実の時空とあの世を繋ぐ。人の一生という短い時間の中ですら、一瞬一瞬の変化で自分がどこにいるのかわからない。太古からの時間の中だともはや五里霧中。そんな世界で唯一定位できるのが死んだ子どもたちなのかも。2019/07/02