内容説明
手のひらの中にドングリや木の実を握りしめて、自分を肥やしにして荒れ地に木を芽生えさせ、荒涼たる草木のない星に森を再生させていく物語。ゆきのまち幻想文学賞第9回長編賞受賞作。
著者等紹介
北原なお[キタハラナオ]
1965年、長野県飯田市生まれ。飯田女子短期大学卒業。1998年、ゆきのまち幻想文学賞大賞を受賞し、翌年、本作「ノアの住む国」で同文学賞長編賞受賞。一男一女の母。飯田市在住
高田雄太[タカダユウタ]
1966年東京都生まれ。作品は『山へ帰った猫』(PHP)、『ヘンゼルとグレーテル』『クリスマス物語』(全音楽譜出版社)、『変身』(TBSブリタニカ)、『「もの」物語』(広済堂)、『白い森のふるさと』(岩崎書店)のさし絵、『ノルウェーの森の猫』、『ウッドストック森の生活』(出窓社)の装画など多数。個展開催は八ヶ岳高原ロッジアートサロン、養清堂画廊など多数
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
モリー
71
ノアの方舟ならぬノアの宇宙船は、滅びゆく地球を離れて不毛の星に辿り着きました。その星は砂嵐が吹くため、ドームの中でしか人は生きられませんでした。しかし、希望はありました。その希望とは、子どもたちが宇宙船に乗り込む前に拾い集めていたある物でした。ある物とは、そして人類のみらいは…。◆人は、失って初めて大切なものに気づくと言いますが、もし、本当に地球を失えば、私達人間に生きていける場所などありません。気付いた時には手遅れです。ところが、現実はどうでしょう。人が生きるために本当に大切なことを考えさせられます。2021/11/14
Yuko
10
再再読。住めなくなった地球を離れ、ほかの星に移りすんだ人々。雪の記憶も遠く、その冷たさも忘れ去られていた。 人は土に還り、別のいのちが生まれる。繋がれていくいのち。 自分はどんな種を持ちどんな木を育てていけるのだろうか。 何度読んでも新たな発見がある。 2020/01/15
Yuko
8
<手のひらの中にドングリや木の実を握りしめて、自分を肥やしにして荒れ地に木を芽生えさせ、荒涼たる草木のない星に森を再生させていく物語。ゆきのまち幻想文学賞第9回長編賞受賞作。> 2001年 地球は人が住めない星となり、砂嵐が吹きすさぶ他の星に移住した人間たちのおはなし。 おばあさんの昔話を聞く新しい星で生まれた子どもたちは地球を知らない。 雪が冷たいものだと初めて知った感動。 人間が土に還り、そこから育まれる木々。 版画のようなタッチのイラストが物語を際立たせていて、余韻が残る。 2019/04/18