内容説明
「漱石」への透徹した批判と、柳宗悦の植民地認識、「親日文学」「在日文学」「アパッチ小説」の解読をとおして、ナショナル・アイデンティティの強者主義と男性原理を明らかにする、「近代」への先鋭な考察。日韓のナショナリズム分析で注目の著者初の本格的論考。
目次
モダニティとしてのナショナル・アイデンティティ
漱石の文明観
漱石的個人主義―「現代日本の開花」と「私の個人主義」
二つの「田舎」―『草枕』と『坊つちやん』
漱石と帝国主義
個人主義の行方―『それから』と『門』
女の不貞と国家―『行人』
個人主義の破綻―『こゝろ』
「国家」の言葉―森鴎外『舞姫』
明治言説の犠牲者たち―「親日」者と学徒兵たちの死にいたる思想
共謀する表象1―柳宗悦と解放後韓国の自己構築
共謀する表象2―「在日文学」をめぐる期待と応答
共謀する表象3―開高健・小松左京・梁石日の「アパッチ」小説をめぐって
暴力としてのナショナル・アイデンティティ―金鶴泳の死をめぐって
近代を超えて
著者等紹介
朴裕河[パクユーハ]
1957年、ソウル生まれ。高校卒業後来日、慶應義塾大学文学部入学、国文科卒業。卒業後帰国、二度目の留学時、早稲田大学文学研究科日本文学専攻修士・博士課程修了。現在、(韓国)世宗大学人文科学大学副教授。2003年度に早稲田大学学術博士学位取得(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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