感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
5
本書の特徴は大著『細胞の分子生物学』を読む過程を前面に押し出す点にある。異言語を習得するように繰り返し読み、複雑さを単純さに分解した個々の成果を示し合い、議論しながら組み立てるという多声的過程は、一人の著者のモノローグと思いがちな書物の通念を読者から取り除いてくれる。前半で一方向的に見えた生物学の歴史を、後半で生命ネットワークとして捉え、言語を意味形成するコミュニケーションとしてこの網の要素とし、「言葉は音楽」(共鳴群)という命題を導出する。DNAと言語のコード化から数学化する手前までのステップが辿れる。2019/09/22