内容説明
21世紀の今日、世界はなお深刻な分裂と報復の連鎖に呻吟する。その根底に蠢くものは何か、その一つは、権力←→暴力による他者支配の攻撃欲動である。攻撃欲動の起因は他者に想定される。隣人、異文化・文明、さらに他国家なる他者の理解が不可避の問いとなる。その二つ目は、私=主体に潜む他我alter egoである。他者の理解は相互の理解を目指す。その前面に立ちはだかるこのalter egoの理解が不可避の問いとなる。ドイツ哲学界をリードする俊英が、ハイデッガー、ガダマー、ミード、フッサール、ラカン、デリダ、ロールズ、レヴィナス、フロイト、ベンジャミン、ニーチェ、スミス、シュミットを読み解く。
目次
1 解釈学の旧来の理解概念とその限界―M.ハイデガー、H.G.ガダマー、G.H.ミード
2 自分のものの理解と他人のものの理解 解釈学と反解釈学を考究の射程に―E.フッサール、J.ラカン、J.デリダ
3 正義という三元的位置からの他者理解か、あるいは汝の要求という二元的位置からの他者理解か―J.ロールズ、E.レヴィナス
4 男女の性差関係にみられる理解の諸葛藤―S.フロイト、J.ベンジャミン
5 理解、攻撃、そして合意‐ニーチェに関する付説―F.ニーチェ
6 経済に関わる理解の概念―A.スミス
7 政治的な理解の問題―C.シュミット、J・デリダ
著者等紹介
シェップ,アルフレッド[シェップ,アルフレッド] [Sch¨opf,Alfred]
1938年ミュンヘンに生まれる。1965年ミュンヘン大学にて『アウグスティヌスにおける認識の根拠付け』により博士号取得。1977年よりヴュルツブルグ大学哲学科教授。現在、精神分析開業医。ヴュルツブルグ精神療法・精神分析インスティテュートにて指導教諭分析医
齋藤博[サイトウヒロシ]
1931年生まれ。東海大学名誉教授
岩脇リーベル豊美[イワワキリーベルトヨミ]
1962年三重県に生まれる。1987年信州大学比較哲学科修士課程修了。2003年ヴュルツブルグ大学哲学科博士号取得。現在、エアランゲン大学日本学講座学術研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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