内容説明
疑似現実=ヴァーチャル・リアリティを創造するシミュレーション―。たとえば、生物の進化をマクロで見れば、そこにもシミュレーション的過程を見いだすことができる。無数の遺伝子情報に裏付けられた精緻な戦略が、種の優位をめぐって進化を戦っているのだ。そのような〈戦略としてのシミュレーション〉を、いま、コンピュータゲームに馴らされたわたしたちはどのように考えればよいのだろう。そのためには、相手の戦略を凌駕しようとするメタ戦略、そしてコンピュータによる情報システムはどんな形で実現されるのか。精緻なゲームをプレイすることによって企業の政策すら検証できるようになるとき、デザインされた権力=制度であるシミュレーションゲームこそ、高度に洗練された戦略そのものと化すだろうか。本書は、技術と学術が交叉するパラダイム〈シミュレーションand orゲーム〉から放たれた、異色のゲーム=デザイン論である。
目次
1 シミュレーションゲーム、二重の戦略装置
2 疑似現実を創るシミュレーションゲーム
3 ゲームと戦略
4 企業政策を検証するゲーム
5 情報=意思決定=ゲーム
6 市長選挙ゲーミング・シミュレーション
7 歴史シミュレーションとしてのビジネスゲーム