内容説明
平和を希求するためには、平和を破壊する戦争を研究し、戦争・紛争の手段である軍事力の本質を理解しなければならない。その軍事力は、時代とともに発展し、効果的な破壊力を持つようになり、第二次世界大戦時のような大量破壊(殺戮)から、湾岸戦争のように相手国の戦力のみの壊滅によって目的を達成し得るものへと、戦争形態の変化をもたらした。しかし、軍事力は、時代の進展にともない、運用方法および役割が変化してきたが、政治目的達成の重要な要素であり、その本質は変わらない。
目次
第1章 理論(軍事力とは何か)
第2章 軍事力の歴史的研究
第3章 現代軍事力の態様
第4章 現代の各種戦の態様
第5章 後方支援と軍事力
第6章 科学技術と軍事力
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
26
私は戦略論あるいは戦術論の観点からこの本を読んでみました。防衛大学校の教科書なのでしょうが、わかりやすいように説明されています。ただ内容的にはかなりな部分で説明が必要なところがあると感じました。そこは先生が補っていくのでしょうが。もう少しページを多くしてもらうか2分冊にしてもいいのではないかと思う点がありました。2014/11/22
白義
10
軍事の基本のキを集成した、この分野を学ぶのに最もふさわしい入門書。軍事力の理論、歴史、実態を項目ごとに専門家が解説し、トリビアに留まらないトータルな軍事知識を得ることができる。国際法が軍事力行使に与える大きな影響や、軍事におけるリーダーシップのあり方、後方支援まで漏れのない構成であり、初心者には馴染みのないミリタリー分野の基礎体力付け、詳しい人も系統だったより深い理解に進むだろう。参考文献、ブックガイドも高水準で充実している2013/02/27
hurosinki
4
その名の通り軍事の入門書。内容は大きく分けて軍事の理論、歴史、そして現代の軍事の三つになる。包括的に軍事の基礎を学ぶ本として、もう一つ「軍事の辞典」という本があるが、こっちの方が新しい分RMAの批判が入ってたり全体の内容としては充実している。そして、個人的な感想だが、理論や歴史に関する記述は「軍事の辞典」の方が圧倒的に網羅的で、質が高い。しかし「軍事学入門」の方は現代の軍事(20年前になるが)をかなり詳しく書いている。特に電子戦、情報戦、ミサイル戦に関してはあまり知る機会がなかったのでとても勉強になった。2018/08/16
すがし
3
軍事についての基礎知識を、ミリオタにありがちな衒学的専門用語のひけらかしに陥ることなく極めて平易に解説した正に入門書。それだけに具体的な戦略・戦術についてつっこんだことが学べるわけではないが、この本に記述された基礎知識を身につけているのといないのとでは、他の軍事関係の書物に対する接し方がまったく違う。「基本書」として極めて優れた一冊。2011/12/04
たろーたん
2
陸上戦力の本質的役割の第一は「人間の支配」であり、その手段としての「陸地の支配」である。つまり、陸地を支配することで人間を支配するのだ。本質的役割の第二は「統制支配に対する拒否」である。陸軍を無力化しない限り、相手国は領土、国民、重要施設を支配することはできないからだ。第三は「相手の統制支配、意志の抑制」である。陸戦の性格を規制する支配要因は、①「地形及び天候・気象」と②「そこに住む人間生活」である。特に②はそれによって、生産施設や交通施設があり、住民が好意的か否かも非常に重要になる。2023/09/18