出版社内容情報
「いないことにされた自分」を再発見することを通して、ほんとうの自分とはどのようなものか、自分で自分を後見し開かれた心で生きるにはどうしたらよいかについて、〈自己後見の技術〉〈愛する勇気の技術〉を語るギリガンの主著完訳。
スティーブン・ギリガンはアメリカのカトリック系アイルランド移民の家系に生まれ、父のアルコール依存症と母の欝の影響に早くから苦しめながら育った。1977年、カリフォルニア大学で心理学学士号取得。1983年、スタンフォード大学で心理学博士号取得。その過程で、20世紀最大の天才的催眠治療者といわれるミルトン・エリクソン博士と、精神の生態学によるダブル・バインド理論・学習理論を築いたグレゴリー・ベイトソンに師事。ギリガン博士は、若くしてすでにエリクソン流催眠治療の最良の教師との評判を得ていたが、やがて〈自己間関係理論〉をたてる。ここには、エリクソンの催眠治療、合気道、仏教の教え、瞑想や表現芸術などが統合されている。カリフォルニア州エンシニタスで開業しているが、スーパーヴァイザーとして世界をめぐり、日本にも毎年来てスーパーヴィジョンのセミナーが催されている。
「子ども時代に親や教員などによって支持的後見、すなわち生誕の祝福からはじまるあなたはあなたのままでいいんだよというメッセージ、私たちの言葉でいえば『肯定的な受けとめ』を経験してこなかったり、逆に虐待、体罰、無視・無関心、おまえはだめ人間だというメツセージ等の否定的後見を経験して育った場合、その人はおうおうにして自分で自分を後見する能力が育っていない。自己後見能力が育っていないと、些細なことがすぐに生き難さに結びつく。したがって……治療の根幹は、彼らにとって支持的後見者になること、彼らのなかに自己後見能力が育つのを援助することである。ここに記述されているのは、新しい精神療法の理論と実践である。」(芹沢俊介/産経新聞 1999.10.10)
内容説明
「いないことにされた自分」を発見し“後見”する技術。天才的な精神療法家エリクソンと革命的な認識家ベイトソンの薫陶を受けて、西洋と東洋の智を綻合する「自己間関係理論」を確立。“愛という勇気”によって自分と自分、自分と他者のあいだに、いかにしなやかで喜ばしい関係をきり拓いていけるかを語る。危機の時代のスーパーバイザーとして世界を駆けるアメリカの精神療法家ギリガンの主著完訳。
目次
1 原理(内を流れる河―「関係を支える自分」の基本的前提;「差異」に払う関心と「差異」同士の関係―他者とどう付きあうのか;関係を支える自分―アイデンティテイ、問題形成、問題解決)
2 実践(追放からの生還―精神‐自然の調和のための訓練;技術としての愛情―後見の実践)
3 治療法(関係性の修正―自己間関係理論による作業の原型;元型的自己―友だちからの少しの助けがあればやっていけるさ;治療的儀礼―新しいアイデンティティへの移行)
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