現代のロシア文学<br> コーカサスの金色の雲

現代のロシア文学
コーカサスの金色の雲

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 349p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784905821908
  • NDC分類 983
  • Cコード C0097

内容説明

一九四四年。五百人の孤児がモスクワから人影の消えたチェチェンの村に移送された。食べることにすべての知恵をそそぐ孤児たち。強制連行によって奪われた地の回復をかけてロシア人への攻撃を繰り返すチェチェン人パルチザン。戦争のなかで真っ先に生きる望みを絶たれる社会の除け者たちの姿を作家の少年院体験をもとに記録した真実の物語。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ケイ

131
これは悲しいね。双子の男のたち。何をするのも一緒で、辛いことも全部一緒な二人。アゴダクリストフの悪童日記とは違い、感情の豊かな子たち。政府による、スターリンによる終戦前の強制移住。少数民族が追われ、混ぜられ、その多くが命を失っていく。それを40年近く経ってから、呼びかけるように書かれた作品の、そのまた15年後にはソ連のチェチェン侵攻。今はそれは中国で続いていることだろう。2020/11/04

みっぴー

40
《カラーズフェア》第五弾。うん、こうなるって分かってた。チェチェン民族が住むコーカサスに強制的に送られた双子の兄弟。慢性的な食料不足、生きるための盗み、パンなんか、スーパーのベーカリーコーナーに行けば、無料で試食できる今の時代に生きていることが、少し不思議になるくらいのリアルな描写。生存本能に比べたら、道徳なんて無きに等しい。チェチェンの地に踏み込んだ者には容赦のない鉄槌がくだされる。来たくて来たわけではないのに。そして今も同じようにテロが繰り返される。誰か、リピートボタンを解除してほしい。2018/09/04

イノ

17
常に空腹な孤児達と兄弟の物語。 生きるために盗み食べる過酷な生活の中でも天真爛漫で コミカルな描写に明るくさせられるが、 ときおり入る作者の深い嘆きに予感させられ、 後半の展開に胸を強く打たれる。 心にぽっかりと大きな穴が空いた気がした。 作者の実体験がモデルらしいが過酷な環境に言葉が出ない。2017/01/22

ぱせり

14
強制移住の事を初めて知った。胸を突くような出来事は、嘗て行われたこれ以上のことを浮き彫りにするようだ。そのなかをしたたかに逞しく、そのくせ妙にまっすぐに生きている少年たちが大好きだ。この作品の著者プリスターフキンはロシア人。この作品は映画化されるのだ。チェチェン・イングーシの監督の手によって。それが、物語の外に描かれた微かな希望のように感じる。 2015/12/16

ケニオミ

12
衝撃的な小説でした。最初はソビエト内の孤児の問題を扱った作品かなと思いながら読み進めましたが、チェチェン問題を扱う作品に途中から変わり、その問題の大きさに打ちのめされました。ロシア人の双子の兄弟という設定がよく考えられています。途中で片方が欠け、生き残った少年コーリアがチェチェン人の男の子と兄弟の契りを結ぶ。そのことで起こる理不尽な仕打ちが、ロシア・チェチェン間の深い溝を象徴していました。これまでチェチェン人がどのように扱われていたかを垣間見ることができる小説でもありました。お薦めの小説です。2019/02/26

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/43663
  • ご注意事項