内容説明
役所の地位もそこそこなのに独身生活の悲哀をかこっている男と、それをなんとか結婚させようとする友人。仲人おばさんに見合いを頼み、ようやく重い腰をあげて紹介された娘の家に行ってみると、五人の花婿候補が鉢合わせ。はりきる友人にお尻をおされてぐずつく男はついに結婚に踏み切るが…笑えるセリフの応酬でゴーゴリの喜劇世界を存分に味わう、ロシア人に愛されつづけた逸品。訳注なしで読みやすい新訳版。
著者等紹介
ゴーゴリ,ニコライ・ワシーリエヴィチ[ゴーゴリ,ニコライワシーリエヴィチ][Гоголь,Н.В.]
1809‐1852。ウクライナの小さな村に生まれ、帝政ロシア時代の首都ペテルブルグに出て下級官吏となりながら作品を書く。ウクライナを舞台にした作品集『ディカーニカ近郷夜話』で文名を高め、その後『ネフスキイ通り』や『鼻』『外套』などのぺテルブルグを舞台にした小説で幻想と現実の入り混じった独特の世界を確立した。プーシキンとともに、その後のロシア文学に与えた影響ははかりしれず、現代にいたっても多くの作家がゴーゴリを意識した作品を生み出している。19世紀のリアリズム作家としての評価から20世紀初頭のフォルマリズムによる再評価と、常に読み直され、演じ直され続ける小説家・劇作家である
堀江新二[ホリエシンジ]
専門はロシア演劇。早稲田大学ロシア文学科大学院を修了後、ロシアの出版社勤務などを経て、現在、大阪外国語大学外国語学部助教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
こばまり
58
ドストエフスキーを読むと、ゴーゴリを読まねばという気になる。翻訳者の計らいでロシア文学のハードルがぐっと下がり、アハハと楽しめる。2019/05/19
SIGERU
7
「私たちはみんなゴーゴリの外套から出てきた」(ドストエフスキー「作家の日記」)。さすがはゴーゴリ。まさに衝撃の笑劇だw久しぶりに心から笑った気がする。登場人物の名前からして、グズーキンだのセワーヤキンだのジジクセイロフだの、ロシア語を巧みに置き換えており、エスプリが効いている。ファルスの傑作である本編がさらに滑稽味を増しているのは、翻訳文のお手柄でもあるだろう。後書きを読むと、訳者の堀江新二さんの資質がよく分る。いよいよ、読み残していた「死せる魂」に挑むかな。これが難物でしかも未完なのだが。2016/09/22
Муми
6
びっくりする終わり方。グスは、いつまでたってもグズの儘なのか。結婚出来ない男と世話焼きの友人を中心に、舞台さながらアップテンポに話が進んでいく。登場人物の名前の付け方など、翻訳が素晴らしいです。2014/08/23
M2
5
最後に登場人物たちのへんてこな名前のロシア語としての意味が書かれていて最後に納得。2018/03/02
Tonex
4
一部の登場人物の名前を、グズーキン(愚図)、セワーヤキン(世話焼き)、カミーツキイ(噛み付き)、ジジクセイロフ(爺くさい)、メタマーヤキン(目玉焼き)などと日本風にアレンジしている。2014/10/11