内容説明
ベトナム戦争から湾岸戦争までの30年間、ニュー・ジャーナリストたちはいかに〈世界〉を語りつくそうとしたのか―。その欲望と方法の変容を辿り、現代ジャーナリズムの課題を剔出する。
目次
序 無署名性言語論
物語の解体と物語の過剰―〈できごと〉はいかに語りうるか(ノンフィクションとフィクションの交錯;『冷血』論;フィクションのノンフィクション化―『復讐するは我にあり』論;トム・ウルフ論)
「死体に涙する人間でありたい」とはどういうことか―デイビッド・ハルバースタム論(存在論的‐認識論的課題を負ったジャーナリスト;ジャーナリストにして歴史家であるということ)
武器としての「3人称」―ウォーターゲート事件とニュー・ジャーナリズム(当事者の視点とその限界―『大統領の陰謀』論;犯罪の内部を描く3人称の視点―『最後の日々』論)
「世界」をみつめることは「自分」をみつめることである―ゲイ・タリーズ論(「その時、その場所」にいる者の視点;「3人称」の解体と物語化の挫折)
「嘘」でない物語はいかに語りうるか―沢木耕太郎論(「嘘を書くために嘘を書かぬ」という「奇妙な努力」;『一瞬の夏』論;円環する物語の視点―究極の物語〈ノンフィクション〉などというものはない)
「私」の機能化―リテラリー・ジャーナリズムとは何か
「世界」へ返される言葉―ボブ・グリーンはなぜ可能か
ベトナム戦争から湾岸戦争までの間に何がかわったのか―「湾岸報道」論(「主客転倒」の時代のジャーナリズム―テレビ報道論;「自覚態」としてのジャーナリズム)
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