感想・レビュー
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ばん
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越中は南縁、礪波市に先年合併した城端町、善徳寺の寺内町として、あるいは金沢福光井波高岡、さらに五箇山との交通の中心地として、目貫の市場都市として栄え、絹織物の生産を伝統とする地にて、町人の経済力を背景に、上方文化から絢爛なる曳山の装飾技術を、さらにはのち江戸文化とともに江戸端唄が流れ入り、紆余曲折を経て江戸時代から現代まで続く城端曳山祭りについての本にて、史実の叙述も面白ければ、端唄の奥ゆかしい感覚に魅了される。背景を精確に切り取りながらも、情念にて風を通し膨らむようで、情熱と爽快の入り混じる風情がある。2012/07/04