目次
第1部 前史―「世界的役割」の歴史的変遷(イギリス帝国維持の試みと挫折、一九四五~五六年;脱植民地化と経済停滞のなかでの対外関与、一九五七~六八年)
第2部 「スエズ以東」関与の再編と撤退(東南アジア安全保障体制の再編、一九六八~七一年;ペルシア湾岸からの撤退と保護国の自立、一九六八~七一年;「スエズ以東」防衛体制の動揺、一九七二~七四年;「スエズ以東」からの撤退、一九七四~七五年)
第3部 ヨーロッパ域外関与の模索(イギリス帝国喪失後のNATO域外関与、一九七五~七九年;イラン革命後の対中東政策、一九七九~八一年;ノットの防衛改革における海軍削減、一九八一~八二年;フォークランド紛争と遠方展開能力、一九八二年;終章)
著者等紹介
篠〓正郎[シノザキマサオ]
1980年愛媛県生まれ。京都大学法学部卒業。防衛大学校総合安全保障研究科前期課程・後期課程修了。博士(安全保障学)。現在、航空自衛隊幹部学校教官。専門は、イギリス外交史、イギリス帝国史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ワッキー提督
5
68年の「スエズ以東撤退」の宣言がなされたあと、東南アジアを中心に旧イギリス帝国の地域でイギリス軍を「引き留める」動きがあったという、ナショナリズムと脱植民地化という時代の潮流からするとやや異質な問題に関する一冊。本書前半ではそういって動きとそれに呼応したイギリスのヨーロッパ域外防衛政策が、後半では前半の動きによって形成された域外関与能力を残した防衛政策が、最終的にフォークランド紛争で機能する流れが描かれている。このテーマに関心のある人間には必読の一冊。2019/12/31
蟹
2
かなり広範な地域と時期を扱っており、読みごたえがあるとともに戦後英国の安全保障政策についての通史的な理解に役立つ。フォークランド戦争についても簡潔によくまとまっている。個人的には研究意欲をそそられた。2020/05/14
わび
2
比較的日本で盛んな英帝国史・イギリス外交史の中の意外な空白になっていたスエズ以東からの撤退を扱った研究、しかもそれが完全な断絶でないことを論じた一冊とあって刺激的であった。「引き留めた」国々は東側の直接的な脅威よりも地域や国内の安定にイギリスのプレゼンスの意義を見出していたという点は興味深いし、アメリカはどのように捉え、自身の戦略に組み込もうとしたのかも気になる。大きな枠組みを提示する本書に求めるものではないが、やや総花的な記述になっている箇所はあり、様々な文脈からまだまだ深めようのある主題だとは感じた。2020/03/05
バルジ
2
1968年の「スエズ以東撤退」以後、イギリスの軍事的プレゼンスは欧州域外から消え去ったのか?そうした問いの中で実際は複合的な要因から軍事的に「引き留められた」帝国としてのイギリスの姿を描く。財政的な制約から中級国家として軍事力の再編を図るイギリスに対し、軍事的プレゼンスの恩恵を受けてきた旧英領諸国、ひいてはアメリカがその引き留めにかかる。そうした過程を経て少数ながら「象徴的なプレゼンス」として軍事的関与を続けることになり、駐留軍の規模によらない形で欧州域外関与を図っていく。2020/02/15
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