内容説明
ドイツの「音楽の戦後処理」とはなんであったのか―芸術と政治の一断面。
目次
第1章 瓦礫と音楽―崩壊の中からの再生(瓦礫の中からの文化的再生;「二〇世紀」という瓦礫の再構築―ボリス・ブラッハー ほか)
第2章 音楽の監視―アメリカのドイツ占領とドイツ音楽(音楽の非ナチ化、音楽を通じた非ナチ化;占領軍政府による音楽への介入 ほか)
第3章 音楽におけるアメリカとドイツの対面―アメリカ占領当局による「アメリカ音楽の売り込み」とドイツ再教育(メニューインのドイツ訪問;「音楽家訪問プログラム」 ほか)
第4章 音楽の非ナチ化―ベルリンフィルハーモニー管弦楽団の復興(ベルリンフィルハーモニーの来歴;ドイツ降伏直後のベルリンフィルハーモニー ほか)
第5章 ラジオ放送を通じた音楽の非ナチ化(ドイツ占領の中のラジオ放送;アメリカ軍占領地区放送局(RIAS) ほか)
著者等紹介
芝崎祐典[シバザキユウスケ]
1970年生まれ。東京大学文学部卒業、早稲田大学政治学研究科修士課程修了、東京大学総合文化研究科博士課程修了、博士(学術)。筑波大学准教授などを経て、中央大学法学部、成城大学文芸学部など、非常勤講師。専門は、国際関係史、文化研究、政治と芸術(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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都人
2
私は50年来のクラシック音楽のファンなので大変面白く拝読した。特にフルトヴェングラーのところ。ベルリンには2回行き、合わせて4週間滞在したことがある。ウンターデンリンデンの州立歌劇場、ドイチェオペラ、コーミシュオペラ、ベリンフィルなど堪能した。この本で気に掛かる記載があった。p202、旧ソ連が占領地ラジオ放送でオペラを初めて放送したが、それは「フィガロの結婚」「ドンファン」「フィデリオ」からの抜粋で・・・とある。なぜ「ドンジョヴァンニ」と書かないのだろう。2019/11/21
秋津
0
「ナチ的」な音楽や音楽家の排除などの文化(音楽)活動への介入の非民主性は占領政府内部においても持たれており、そもそも「ナチ的」かどうかの判断は曖昧であったことや、ベルリン市民に対する非人道的暴力の一方で、音楽家への優遇措置など、ソ連の「音楽的価値」に基づく政策との対比を通じた文化面における「戦後」を見据えた米ソ両国の動向など、ドイツ音楽を巡る政治的な動向とともに、本書において「冷戦教養主義」(おわりに)と指摘されるような、政治的な動向の元での音楽の在り方にも目が向けられている。2019/09/22