内容説明
模範となるような家庭で両親が就寝中の長男を刺殺するという凄惨な事件が発生した。見えてきたのは、ごく普通の家族に潜んでいた夫婦と親子の「異常性」だった。理想的に見えた家庭に巣食っていた「偽り」という病。1993年度「日本新聞協会賞」受賞。
目次
第1章 自立できない長男(夫婦円満な家庭の裏で;進学校入学で挫折体験 ほか)
第2章 貧しさのなかで(米屋統廃合で失業した父;野菜行商の母の手伝いを ほか)
第3章 自立への途上で(法廷とは別人のような長男像;抜群だった音楽センス ほか)
第4章 家族病理という視点から(「役割ロボット」の悲劇;健全な家族に潜む異常性 ほか)
第5章 ある夫婦の軌跡(中三の夏に突然の変化;金づちで弁当箱に穴 ほか)
著者等紹介
横川和夫[ヨコカワカズオ]
1937年、小樽市生まれ。60年、共同通信社入社。72年に文部省(現文科省)を担当して学校教育のあり方に疑問を感じ、教育問題、学校や家庭から疎外された少年少女、さらには家族の問題を中心に、日本社会の矛盾が表出する現場を一貫して追い続けてきた。論説兼編集委員を経て現在はフリー・ジャーナリスト。『仮面の家 先生夫婦はなぜ息子を殺したのか』(共同通信社刊)では93年度日本新聞協会賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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かめぴ
3
自分がとても「いい母親」だと思わない。夫もしかり。だが子供らは暴力も振るわず、引き篭もりもせず、学校も辞めずに、一応家族としての機能を果たしている。この違いはなんだ。何処でボタンを掛け違えるんだろう。父親と母親と子供。自分ちがうまくいっていることが、不思議。2014/03/22
Aoi\(*ˊᗜˋ*)/
2
親子とは。この夫婦が問題だったのか?よく分からない。それぞれ育たなければならない部分が欠けていた。家庭内暴力まで発展して悩みに悩んだ夫婦の最悪な結末。どの時代でもあり得ると思う問題だ。2021/05/19
tu-ta
2
問題は引きこもって暴力をふるう本人だけではなく家族にも、同じようにあるというのはわかる。しかし、それを「家族病理」と言ってしまうことに違和感が残る。どんな家族にも起こりうる話では? 問題は困っている家族と本人にどう支援すればいいのかという話。こじれた関係は当事者だけではなんともならない。そこに支援なり、介入なりが必要だと思うのだが、そこで多くの人たちが、どうしていいのかわからず立ち止まってしまっている現状なのではないか。最初の殺してしまった事例の後に、殺されそうになっていたが回復した事例も。コメ欄に続く2020/08/29
ポポ
1
つくづく、親子関係、家族関係というのは、難しいものだと思った。先生夫婦は本当にいい親だったと思う。そりゃ人間だから、ほじくれば欠点や過去の挫折や考え方の偏りはあるだろう。それも普通のことで、そんな普通の親のもとで子供は反発したり失望したりしながらも育っていくものだ。それでもやはり、子供が荒れてしまうのは、親のせいなのだろうか。いや、せいというより、荒れた子供を引き受けるのはやはり親しかいないのか。親にならなんとかできるのか。自分の子供がそうなった時、自分はどうするのか、他人事ではないと考える親でありたい。2019/02/06
みひみひ
0
読んでいると息苦しくなってくる。どうして、息子を夫婦で殺さなくてはいけなかったのか?読んでもやっぱりわからない。後半出てくる別の家族のお母さんもかわいそう。私には理解できない。2013/06/09
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- 和書
- 夏の陰