内容説明
『自分に一体何ができるのだろうか』。『スペイン語は苦手だが、算数なら役に立てるかもしれない』JICAの中米算数・数学協力の歴史は、1987年、中米ホンジュラスに派遣された一人の青年海外協力隊員の自身への問いかけから始まった。ホンジュラスで実績を残した算数科指導力向上プロジェクトは、エルサルバドル、グアテマラ、ニカラグアなど中米諸国でも実施され、“算数・数学教育はJICA(日本)”と言わしめる成果を収めた。この分野の第一人者である著者が、教育内容まで踏み込んでひもとく国際協力30年の軌跡。
目次
第1章 すべては協力隊から始まった(算数教育協力が生まれるまで;協力隊が算数科に協力を特化 ほか)
第2章 日本がホンジュラスの算数教科書開発にかかわる―初めての教科書開発を中心とした技術協力(技術協力として;「教え孝み」から「考える」 ほか)
第3章 中米広域“算数大好き”プロジェクト(広域プロジェクトの誕生;人材育成への希求 ほか)
第4章 中米諸国への展開(エルサルバドル―広域プロジェクト的教科書開発;グアテマラ―協力隊と共に始まった算数協力 ほか)
第5章 第2回広域中米算数・数学協力が始まった―世界との学び合いの場を求めて(また中米で協力ができる!;プロジェクトをどのように策定されたか? ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
rigmarole
12
印象度A-。珍しく(!)仕事関連で読んだ本を読メに上げます。個人的な関係で興味深い話がたくさん書いてあったので印象度は高いですが、個別的・専門的過ぎるので、一般の方には読み物としてお薦めすることはできません。誤植や表現のおかしなところも散見され本としての完成度も低いです。ともかくも、1987年以降、中米の算数・数学教育協力に携わってきた方々(とりわけ筆者)のご苦労がよく分かります。国際協力、特にODAにおける技術協力は、単に日本のノウハウを伝授すればいいという簡単な話ではなく、政治が大きく関わってきます。2020/06/17