n次創作観光 - アニメ聖地巡礼/コンテンツツーリズム/観光社会学の

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  • サイズ A5判/ページ数 102p/高さ 21cm
  • 商品コード 9784905385042

出版社内容情報

閉塞した時代、希望のない日本、その社会に「観光」で答える ― 本書は、現代社会において、観光が他者とのコミュニケーションのあり方にどのような役割を果たすのかを論じている。社会一般で問題となっている「他者性を持った他者」との相互作用に関して観光が果たす役割を検討し、分析の道具としては、主に観光社会学の理論を紹介し、その上で、アニメの舞台を探し出して巡る「アニメ聖地巡礼」と、コンテンツに関わる観光である「コンテンツツーリズム」という現象を見ていく。その結果、見いだされる観光の可能性、それを『n次創作観光』と位置づけ、『n次創作観光』が、つながるはずの無かった人と人をつなぎ、他者からの承認を得られる居場所を創り出すのではないかという考察するものである。「アニメ聖地巡礼」研究の第一人者・岡本健による、待望の初単著。果たして、閉塞した時代は希望の「光を観る」のか?

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

サイバーパンツ

17
コンテンツツーリズムへ関与することで整備されたデータベースが、SNS等によりN次的に共有・創作されることで生まれた、観光情報、観光文化、その構築プロセス、それらの総称としての「N次創作観光」。それは、私たちも気付かぬうちに、島宇宙に「スモール・ワールド」理論的なランダム線を引き、最終的に「観光」という形で偶然の出会いを誘発する。聖地巡礼などの「N次創作観光」こそが、島宇宙を開き、その偶然性でもって、他者と他者を引き合わせるという著者の主張は、楽観的ではあるが、可能性として十分考えられるものだといえよう。2017/04/29

梟をめぐる読書

8
〝アニメ聖地巡礼〟という現象を観光社会学の視座から分析することで、業者と観光客が一方的にもてなし/もてなされる関係としてのそれではなく、地域住民と旅行者が協働して現地を盛り上げていくような「n次創作観光」の可能性を問う。約100頁のコンパクトな著書ながら、情報社会化やSNSの発達によるコミュニケーションの質の変化といった社会学の基本から押さえられており、実際に著者がその足で現地を訪問して調査を重ねただけあって記述の信頼性も疑いなく高い。今後のコンテンツ論を考える上で、必読書になりそうな一冊。2013/04/16

tegi

5
すっげーラブリーな学術書。こんなラブリーでいいんだろうか。いいんだろうな。アニメの聖地巡礼ムーブメントが閉塞した社会をひらく、観光の可能性を示している――という大筋をかたる筆致はそりゃふつうの学術書で極めて「ちゃんと」している。でも、間に関係者からの著者へのコメントとか、編集と著者の座談会とかが挟まってて、それがラブリー!/鈴木謙介『ウェブ社会のゆくえ』や、東浩紀ほか『福島第一原発観光地化計画』なんかとあわせて読むのがおすすめ。2013/11/25

鳩羽

5
聖地巡礼のようなコンテンツツーリズムで「他者性を持った他者」と出会うことにより、異文化(異なるグループ、属性、地域などなど)と交流することで、新たな公共のあり方の可能性を観光に見出そうとする。アニメ等の聖地巡礼をよく知らないのだが、ドラマや映画の撮影場所探訪に近いのだろうか。特定の「見せるために用意されたもの」ではなく、日常そのままの風景を見に行き、その体験記や体験そのものを情報として交換し、楽しむもののようだ。ソーシャル性を楽しむオンラインゲームみたい。出会う他者も選んでしまっているように思えた。2013/03/04

hisaos

4
アニメやゲームの一次創作を種として、そのモチーフとなった場所やイベントを開拓し「聖地」として見出し、さらにそこに「巡礼」する人々によって「聖地」の情報が何重にも強化され、共有されていく動きが見られる。著者はこれを初音ミクをとりまく「N次創作」にならって「n次創作」と名付け、「聖地巡礼」する人々がリアルの空間でつながりを持ちうる可能性を指摘し、「大きな物語」が失われ「島宇宙」に閉じこもる時代に、人々のつながりを回復する処方箋として「n次創作観光」に希望を託す。2015/02/20

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