出版社内容情報
「天使とは,美しい花を撒き散らす者でなく,苦悩する者のために闘う者である」(ナイチンゲール)
19世紀イギリス社会の中,最前線の軍事病院にて感染した回帰性の熱病に苦しみながらも,歪んだ体制や制度,社会通念や差別・偏見と闘いつづけ,自己の信念を貫き通した生涯を追い,その思想の核心に迫った画期的なナイチンゲール論。
はじめに
■第一部 ナイチンゲール家の娘フロレンスの夢と試練
第一章 ナイチンゲール家のフロレンス
第二章 フロレンスから看護師ナイチンゲールへ
■第二部 闘うナイチンゲールと仲間たち
第一章 クリミア戦争とナイチンゲール
第二章 病院拡張に伴う看護師育成の問題
第三章 アイルランド大飢饉とリヴァプール
第四章 グラスゴー王立病院と新しい看護師教育
第五章 ナイチンゲールの危惧と提言
参考文献/あとがき/索引
徳永 哲[トクナガ サトシ]
著・文・その他
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
えすてい
7
ナイチンゲールを理解するには、ナイチンゲールの信仰心、ことに英国国教会・カトリック・ユニテリアンの違いを見ていかなければならない。ナイチンゲールはキリストに倣う信仰の人であったから看護師の目標が単なる資格取得や就職のためであることに危機感を覚えていた。看護師に信仰心を確固たるものにさせキリストに倣う者でなくてはならない。だからこそ、ナイチンゲールの著書には頻繁に聖書からの引用が登場する。現代社会においてキリスト教信仰心をそのまま一字一句引き継ぐのは難しいかもしれないが精神的な指針を持つことも必要であろう。2019/06/10
Risa Shimowada
2
統計、論理的というキーワードで興味のあったナイチンゲール。読んでみて凄い人だとは思ったけど、彼女がどうして同時代の人と違う思想を持ち、数学等を勉強し、看護を論理的に改革したのかの理由は最後まで腹落ちせず、もやーんとした読後感だった。彼女の手紙とかも引用されてるんだけど、なぜか彼女の頭の中が見えない。 イギリスがアイルランドに酷かったというのは分かった。キリスト教が差別思想ということも。2018/07/23