内容説明
北海道・東北から九州・沖縄まで、地名にこめられた警鐘を、私たちは、どこまで聴きとれるのだろうか。各地の第一人者による災害地名探索。
目次
北海道・東北(津波常襲地の地名と伝承―三陸海岸が失ったもの遺したもの;自然災害と地名 地震と津波から―三・一一の教訓を読みとる;釧路地方沿岸の津波災害―体験が語る十勝沖地震とチリ津波)
関東(地名に隠された「東京津波」―時代遅れの防災対策;津波による九十九里浜沿岸の被害と地名―三・一一と九十九里浜;群馬の災害地名―浅間焼け、弘仁九年地震などの遺した地名)
中部・信越(長野県の活断層と災害地名―災害箇所の予知のために;愛知・岐阜の災害地名―危険を孕んでいるところ;新潟県における災害の痕跡とその地名―先人の遺した警告)
紀伊(紀伊半島の災害の歴史―石碑の警告;熊野川流域の災害と地名―被災地を訪ねて;那智川の土石流災害と地名―大崩落の調査報告;水害と地名―紀伊半島を襲った明治と平成の大水害)
中国・九州・沖縄(南風泊その他―海の災害地名;熊本白川大水害と北九州豪雨―白川流域に刻まれた災害地名;島原大変・肥後迷惑―自然は過去の習慣に忠実である;宮古・八重山の明和大津波―被害概況と関連の地名・遺物)
著者等紹介
谷川健一[タニガワケンイチ]
1921年生まれ。日本地名研究所所長。文化功労者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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mazda
38
昔の地名をきちんと調べることで、その土地でどういった災害があったのかがわかる、ということが詳細に記されています。仙台市の霞目に自衛隊の駐屯地がありますが、その近くに浪分神社というのがあるそうです。過去の宮城沖地震のときに、この神社のところまで津波が押し寄せ2つに分かれた、ということから名づけられたそうです。地図で見るとわかるのですが、ここは相当内陸にあるので、常識的にはここまで津波が来るとは想像できません。先人たちの知恵を後世にきちんと伝えていくことが、現代人には必要なのかもしれません。2015/09/30
Wan-Nyans
37
地名は警告する”日本の災害と地名“>> 北海道と東北、関東>> 浅草や日比谷、市ヶ谷も危険地名。斜め読み。2020/08/07
澄
13
各地域毎に災害のあった地名を検証。いろいろと感銘をうけるが、書籍の題名ほど地名の説明はない。半分は過去の災害に関する内容で、題名と内容が一致しきれていないのが残念。もっと地名の由来等深く紹介して欲しかった。2014/09/01
coolflat
5
東京は危険な低地地名が多いと言う。実際にゼロメートル地帯が多い。浅草、日本橋、新橋、月島、いずれも低地地名である。更には、砂や浜のつく場所は液状化の影響を受ける可能性が高い。そもそも江戸という地名そのものが危険地帯を表している。江戸とは川の入り口を指す言葉なのだ。にも係わらず、地震による災害危険度が「建物倒壊危険度」と「火災危険度」の二つしかないという東京都の現実は、津波を危機的に捉えていない証拠である。我々の先祖は災害の傷跡を誰かに伝えたく地名に刻んで遺している。それを災害予知として役立てねばならない。2013/12/26
よしださいめい
4
書名通り。個人的には、やはり東京都の地名と津波被害のこと。いかに東京都には、水と関わりの多い地名が多いことか。本書でも述べられているが、「江戸」は、水の入り口。「橋」「島」…など。 地名は、たしかに、多くのことを警告してくれているが、市町村合併により、そのことが消えていく。 人と自然とが離れている証拠でもある。2015/11/07