内容説明
民俗の現場に立って日本人の再生観念の基層を見る谷川民俗学の壮大な射程を示す論考。
目次
第1章 蛇巫の誕生とゆくえ(蛇巫の誕生;龍の文様の渡来;信州の蛇信仰と九州山地;琉球・朝鮮の三輪山伝説;蛇を祀る;蛇と百足;蛇と雷;毒蛇の神罰;真臘国の蛇王)
第2章 蛇と海人の神(倭の水人の信仰;死と再生の舞台;蝮の由来;海蛇―海を照らす神しき光;龍蛇神をめぐる神事;かんなび山の龍蛇信仰;龍蛇の末裔;潜水の方言スム;潜り海人と海蛇;古代海人と蛇の入墨;蛇の神と地名;ウズ―海蛇類の総称;蛇と虹;蛇と不死;口笛と龍神)
著者等紹介
谷川健一[タニガワケンイチ]
1921年、熊本県に生まれる。東京大学文学部卒業。現在、日本地名研究所所長。文化功労者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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yuma6287
8
蛇に魅入られた人々がいた。我々の祖先である。これまでの論考から蛇に関するものを抜粋した論考集。土器から神話、民話まで、あらゆる起点から論考を始める博学さと、意外な繋がりを発見する聡明さが、簡潔な文章で展開されて、終始楽しんで頁を捲った。古代の日本人ひいては古代人が、蛇をどれだけ大切にしていたのか伺える。毒を持ち、脱皮し、大柄の生物という要素に神聖さを見出すのは当然であるが、彼らのヘビ観が我々と大きく異なることが驚きでした。本書を通じ神話の知識が増やしたい思いで借りましたが、狙い通りの体験が出来て良かった。2025/01/24
らむだ
5
縄文土器の蛇の意匠からシャーマンと蛇の密接な関係を読み解き、古代から息づく蛇信仰と蛇伝承を探る書。短い文書で様々なテーマを語っているので、初学者でも比較的読みやすい構成になっている。2023/10/30
拡がる読書会@大阪
2
蛇に関する日本の民俗学的視点から、その象徴性や信仰の歴史、文化的な役割を詳細に解説したものです。 蛇という存在が日本の古代信仰や民俗、さらに人々の心の中でどのように受け止められてきたのかを掘り下げています。 特に、蛇が象徴する「不死」と「再生」のテーマを軸に、生命の循環や自然との関わり、人間社会での象徴的役割を探求しています。 https://note.com/sharebookworld/n/nac68487c8fa62025/01/13
saba
2
面白かった!表紙の土偶めっちゃ良いなあ。実物見たい!諏訪~南信州の蛇神信仰を訪ねて回りたい。海側の龍蛇信仰と山のそれとは別のルーツなのかと思っていたけれど、そこもまた人の往き来でもたらされた枝なのだ。川にも海にも空にも、人は神の使い的に龍≒蛇を見る。虹も好きだが雷にも魅入られる。微妙に言いづらかったが、今後「縄文的な気持ちで」と称するか。 2021/09/22
潮
2
読了し図書館に返したが、また読み直したい。面白い。2019/09/22
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- 和書
- 日本的霊性 岩波文庫