内容説明
作家を慕い本づくり一筋の編集者が記す、本をめぐる「縁」と「愛」のものがたり。人を支えた本の話。「百年先の人々の心田を耕す本を作りたい」この思いで作家と向い合う編集者の半生の記。
目次
伊藤博文と安重根―佐木隆三
女優X伊沢蘭奢の生涯―夏樹静子
藍木綿の筒描き―下重暁子
平家物語
土の器―阪田寛夫
納棺夫日記―青木新門
岬―中上健次
森敦月に還った人―新井満
大地の子―山崎豊子
松江特集〔ほか〕
著者等紹介
高橋一清[タカハシカズキヨ]
昭和19(1944)年島根県益田市に生まれる。早稲田大学第一文学部卒業後、株式会社文藝春秋に入社。「文學界」「文藝春秋」「オール讀物」「週刊文春」の各編集部、出版部などに所属し、多くの作家デビューに立ち会った。平成2(1990)年、「別冊文藝春秋」編集長、同6(1994)年、「文春文庫」部長、同8(1996)年、文藝振興部長、同9(1997)年、公益財団法人日本文学振興会理事に就任する。同12(2000)年「私たちが生きた20世紀」編集長。同13(2001)年、第1編集局長、「臨時増刊」編集長。同17(2005)年3月で文藝春秋を退社、4月より一般社団法人松江観光協会、観光文化プロデューサーとなる。日本ペンクラブ会員。文藝春秋社友(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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波多野七月
13
「百年先の人々の心田を耕す本をつくりたい」元文藝春秋の編集者によって語られていく、様々な作品を手に取ってみたくなる。さすがに希代の本読みなだけあって、登場する作品はいささか難易度の高い作品もあるものの、けっして敷居が高いばかりではない。高樹のぶ子の青春小説『その細き道』や、太宰治の心中をモチーフとした『恋の蛍』(松本侑子)を読んでみたくなった。今の自分の心の琴線にふれなかった作品群も、いつかは出会える瞬間もあるかもしれない。本と出会えた歓びを、かみしめたくなる一冊です。2015/09/20
mataasita
1
文芸春秋の編集長をやっていた人の本。たくさんの書籍が紹介されている。作家一人一人に真剣に向き合い、手書きの手紙を送り、きちんとその人に会いに行き、思いを伝える。こういう行為がまずは人として大切なのだと再認識させられる。有名な本もあれば、時代も少し古いので全く知らなかった作家の作品も多かった。出会うことのなかった、ブックオフでも素通りした本たちに、「おっ、この本はあの百冊百話で・・」と出会うチャンスをくれた本だと思う。1冊につき2ページで思い出や作家への思いが語られているのですぐに読める。おすすめ。2017/10/10
とよとし
0
同郷の元文春編集者。当時の作家のエピソードが面白い。編集者になりたかったな。★★★★☆2019/03/12