内容説明
命と向き合う動物写真家・前川貴行。人と動物は、同じ大地に立つ対等な一個と一個であるという前川の写真は、常に私たちに語りかけてくる。今回、自身のことばで野生動物との初めての出会い、写真家として動物と向き合う覚悟、さらに人と動物の生きる世界のありかたへの思いを語る。朴訥でありながら詩的な言葉に、アーティスト・井上奈奈の絵が加わり、世界はさらに深く広がる。
著者等紹介
前川貴行[マエカワタカユキ]
動物写真家。1969年、東京都生まれ。エンジニアとしてコンピューター関連会社に勤務した後、26歳の頃から独学で写真を始める。97年より動物写真家・田中光常の助手をつとめ、2000年よりフリーの動物写真家としての活動を開始。日本、北米、アフリカ、アジア、そして近年では中米、オセアニアへとフィールドを広げ、野生動物の生きる姿をテーマに撮影に取り組み、雑誌、写真集、写真展など、多くのメディアで作品を発表している。2008年日本写真協会賞新人賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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たまきら
30
娘は小さい頃、上野動物園のエゾヒグマさんおやつタイムが一番好きで、飼育員さんがあちこちに食べ物を隠すところからワクワク眺めたものです。軽々と丸太を持ち上げ転がす怪力、私たちがのぞく窓に楽々届く巨体。囲いがないところで遭遇したらどんな気分だろう…とよく思ったものです。ですから最初の言葉にまずドキリ。「クマと対峙し思う。それは自分が食物連鎖に組み込まれたということ」そう…そういうことなんだよね。美しい写真を眺めつつ、ずっとその言葉を反芻しました。2024/10/06
booklight
22
カメラマンの前川氏と画家の井上氏の合作。こんな個性の強い二人で本がつくれるんだという驚き。前川氏はこういう写真を撮りたい、という写真が多い。それはそれでいいのだが一等賞な写真ばかりではちょっと疲れてしまうし、実はそういう姿勢が本人の気づかないところでちょっとコミカルだったりする。そういうスキみたいな部分が版画によってペースダウンして面白味と違った深みを出している。クマと出会うことは人間が捕食されるという世界に立つことになる。その新鮮さがテーマとして面白い。ま、二人のぎりぎり接点という感じでもある。2024/06/01
ポラオ
1
●雪に埋もれるホッキョクグマや母グマがかき分けた雪の後をついてくる子グマの写真がとても神々しくて綺麗で可愛い。シロクマ以外にもヒグマやグリズリーの写真もたっぷりなのが見ごたえあった。2023/07/27