感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
garth
7
「おのれの血をもってでなければ独立をあがなえないことを、本能的に悟っているのだ。おれは、ここへきてはじめて、この独立が、いかに奥州国国民に必要だったのか、わかった」“人間嫌いの文学”の系譜。2021/05/09
まんだよつお
6
生涯の10冊の1冊。復刊してくれた版元の荒蝦夷に感謝。美文・麗文で紡がれる物語は叙事詩であり抒情詩。読み返すたびに流れる涙は、潰えた奥州国独立への無念の涙か、無残に斃れた奥州国民への悲しみの涙か。圧巻は入都を拒否された流民が集う河川敷の闇に流れる三味線の調べ、奥州国独立宣言を宣言する野上高明の演説シーン。魂が震えるとはこういうことを言うのだろう。中央政府と地方自治のねじれた関係は、東日本大震災後の東北と米軍基地問題を抱えた沖縄に今も顕著。奥州国と琉球国の独立は、見果てぬ夢のまま終わってしまうのだろうか。2023/10/17
たくぞう
0
再読。西村寿行屈指の快作を二段組で一冊に纏めてくれてありがとう。分厚くて読んでも読んでも残りの頁数が減らないことの幸せ。2021/09/22