内容説明
一八八〇年代、天災による飢餓や疫病が蔓延していた頃、朝鮮王朝による天主教(ローマ・カトリック)信徒への迫害は凄惨を極めていた。拷問で殺された三兄弟の生き残りである儒学者、無学ながら教えに惹かれる馬子、汁飯屋の寡婦、元宮女、船頭、黒島の少年、背教者…埋もれていた史実にこだわり、膨大な資料をもとに虚構を織り交ぜながら、人間たちの切実な生の営みを描く。韓国を代表する作家金薫による歴史小説の真骨頂。
著者等紹介
金薫[キムフン]
1948年ソウル生まれ。高麗大学政治外交学科に入学後、英文学科に転科したが、父親の逝去と経済的な困難により中退し、韓国日報に入社。以降、数々のメディアで記者として長く活動した。『文学紀行』(朴来富との共著)などの初期のエッセイ作品に続き1995年に発表された『櫛目文土器の思い出』から小説に軸を移し始める。韓国で百万部を超えるヒットとなった『狐将』(新潮社、2005年)をはじめ歴史を小説の題材にすることが多く、独特の筆致と重厚な世界観で読者を魅了している。他の代表作に短編「化粧」(2001年、李箱文学賞受賞作)など
戸田郁子[トダイクコ]
韓国仁川在住の作家、翻訳家。1983年に韓国に留学し近代史を学ぶ。中国ハルビンに留学後、中国朝鮮族を取材。著書に『80年前の修学旅行』(韓国・土香)など。仁川の旧日本租界に「仁川官洞ギャラリー」を開いた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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