内容説明
独立運動の資金を得るために寛洙が中心となって計画した晋州での強盗事件には、吉祥も陰で協力していた。平沙里の村人の間では、社会の変容から世代間に齟齬が生じ、家族が揺らいでいる。学校を追われて家出した寛洙の長男・栄光は、東京で進む道を模索していた。日本の傀儡政権・満州国が建国され、間島の独立運動に対する圧力も強まり、活動家たちは活路を探っている。そんな中、一時は東京に滞在していた仁実がハルビンに姿を現した。彼女を捜し続けていた緒方次郎も、新京で職を得ていた。新京で自動車修理工場を経営する弘の元には、異父姉の任や密偵だった金頭洙が訪ねてきて、不気味な影のようにつきまとう。
著者等紹介
金正出[キムジョンチュル]
1946年青森県生まれ。1970年北海道大学医学部卒業。現在、美野里病院(茨城県小美玉市)院長。医療法人社団「正信会」理事長、社会福祉法人「青丘」理事長、青丘学院つくば中学校・高等学校理事長も務める
清水知佐子[シミズチサコ]
和歌山生まれ。大阪外国語大学朝鮮語学科卒業。在学中に延世大学韓国語学堂に留学。読売新聞記者などを経て翻訳に携わる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。