内容説明
「私は、お肉は食べないの」ある日突然始まった彼女の菜食、すべてはそこから始まった。韓国最高峰の文学賞、李箱(イサン)文学賞受賞作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
613
噂のハン・ガンに初挑戦してみた。評判に違わぬ、というか聞きしに勝る圧倒的なまでの作品世界の展開に、しばし茫然の体。本書は3つの連作中編から成るのだが、3作ともに作品の中核にいるのがヨンヘである。第1話の「菜食主義者」では、その夫が(語り手でもある)、第2話「蒙古斑」では義兄が、そして第3話「木の花火」では実の姉がそれぞれヨンヘを巡って、そして挙句にはその狂気に吞み込まれていく。ヨンヘの磁場は圧倒的なまでに強いのである。それが不条理の世界などではなく、あくまでも現実世界で展開するだけにやりきれなさが周縁に⇒2025/04/19
青乃108号
359
3部構成の連作集。中心に居るのはヨンヘ。彼女が或る夢をきっかけに突然「菜食主義者」になり次第に壊れていき人である事を拒否し自身が植物に変化する事への執着を持つまでの様を①彼女の夫②義兄③姉の視点から描いている。中心人物であるにも関わらず彼女自身の心象世界が直接描かれる事は決して無い。彼女のせいで究極の疲弊に追い込まれる親族の視点でしか描かれない為に彼女の言動は奇異なものでしかない。彼女は被害者としていつもそこに居る。精神科医にさえ理解してもらえない究極の孤独。彼女には彼女の世界が確としてそこにあるのに。2026/10/10
旅するランナー
198
菜食主義者というタイトルが生ぬるいくらい。過去のトラウマによる夢のために肉が食べられなくなる女性を、夫·義兄·姉の目線から描く連作小説。想像を超えて、拒食症、植物化へと進んでいく、慰めもなく目を見開き、底まで降りていく、身の毛もよだつスリラー。2025/11/30
ネギっ子gen
195
3人の目を通し語られる連作小説。「菜食主義者」は、平凡な妻・ヨンヘが、急に肉食を拒否しだし、日に日に正常さを失っていく姿を見つめる夫の目から。「蒙古斑」は、妻の妹・ヨンヘを芸術的・性的対象として求め、あるイメージの虜となってゆく義兄の目から。で、最後は、変わり果てた妹、その妹に酷い行為をしたことで夫が家を去ったの後、幼い息子と共に、脆くも崩れ始めた日常の中で足掻く姉・インへの目から見た、「木の花火」。ヨンヘの、<ごはんなんて食べらなくていいの。生きていける>に、子どもの頃のわたしが、切ない思いで共感……⇒2021/03/27
mako
173
自分の心の奥底まで下りていき、そこで息をひそめながら、けれども興奮し続けながら読んだ。そして奥底と思っていたところよりまだ先があることを知った読書体験であった。2024/10/10




