内容説明
カラーで写し撮る1950年代のパリ。
目次
ESSAY
1 パリの街角
2 素顔のパリっ子
3 安らぐパリ
4 華やぐパリ
ESSAY
著者等紹介
木村伊兵衛[キムライヘエ]
1901年(明治34)、東京市下谷の紐職人の家に生まれる。子供の頃から写真に興味を持ち、京華商業に進学はしたが寄席や芸者置屋に出入りする一方、写真に熱中した。卒業後に砂糖問屋の台湾支店に就職。そこでも仕事場近くの写真館に出入りし営業写真の技法を教わる。1922年、東京にもどりアマチュア写真クラブに入会、自宅に写真館を開く。1930年、ライカを入手し花王石鹸の広告部門でプロ写真家として活動を開始。翌年東京で開催された「独逸国際移動写真展」に大きな衝撃を受け、リアリズムの写真表現を確信する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
らぱん
51
壊れかけの建物、壁に貼られたポスター、ネオンの色に染まる霧。木村伊兵衛のパリは素敵だ。 出来たばかりの和製カラーフィルムでその感度の低さの影響があるのだとは思うが、光は淡く輪郭は柔らかく独特の雰囲気がある。 寄り添う恋人たち、路上で遊ぶ子供、店先でポーズを決める店主、働く職人、歩行者…街角の人物は切り取られた瞬間だけではない安定した存在感がある。 新作の帽子を被るマヌカンやジバンシーを纏うモデルのモードがあり、競馬場で盛装した女性やカフェに佇む男性の小粋で洒落た姿がある。1954年のパリだ。2020/08/20
PEN-F
10
土門拳さん同様、木村伊兵衛さんの写真にコメントなど絶対無理です。 この二人は神です。2018/12/25
勝浩1958
10
ライカで撮影したと想像するのですが、いまのデジタルカメラとは異なる、被写体の輪郭がふんわりとしていて、色調に温かみを感じさせてくれる写真ばかりです。1954、5年のパリ、何とも言えない哀愁に満ち溢れています。タイムスリップしたいと思いました。2016/06/04
としピース
9
1954年、富士フイルムから委託されて木村伊兵衛は開発されたばかりの和製カラーフィルムを50本携えて、エジプトとパリに飛んだ。木村ははじめての海外経験だった。その時のパリの風景と人々を収めたのが「パリ残像」。フィルムの感度はISO10の低感度だから、日中の屋外でも落ち着いた色合いの写真集だ。終戦後ほぼ10年経った木村伊兵衛が切り取ったパリの街はいまとほぼ同じだが、パリっ子は幸せそうだ。木村伊兵衛とライカが、パリで気圧されることなくいい仕事ができた、絵葉書のような写真は1枚もない。2020/08/16
ふ
4
写真展でもう引き込まれてしまって、会場で買った一冊。写真集そのものを見て引き込まれるというよりは、あの展示の空間にふわっと意識を飛ばすための鍵のようなもの。最後の田沼さんの文章がよかった。ただ、展示で一番好きだった射的の写真が載っていなかったのは本当の本当に残念。ポストカードなどの商品にもなく画像検索でも出てこないので、さらに残念な気持ち。すでに出ている他の写真集に載っているのでしょうか?2016/04/24
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- 和書
- 花のかたち 〈秋〉