内容説明
大切なものがぬすまれないようにかくし場所を変えるカケス、仲間と血を分け合う吸血コウモリ―。こうした行動を起こす心のスイッチはどんなしくみなのでしょう。ヒトをふくむ動物の行動を研究し、目に見えない「心」について、さまざまな角度から追究する「動物行動学」の最新の研究成果をお伝えします。
目次
心のありかを探す旅に出よう(はじめに)
思い出の中の3つのW―どこで、いつ、なにを(カケス)
心はタイムトラベラー―時間を超える装置(カケス)
心にうつる自分の姿―空間を超える装置(ミツバチと鳥たち)
孤島で生まれた知性―道具と文化(ニューカレドニア島のカラス)
生き物らしさを感じるとき―生物的運動(ヒヨコとヒトの赤ちゃん)
モネとピカソの絵を見分ける―美術(ハト)
えさを分けあたえるとき―利他行動(ヒメヤマセミのヘルパー)
餓死との距離をはかりながら―利他行動(コスタリカの吸血コウモリ)
たくさん働くほどおいしい―コンコルド効果(ホシムクドリ)〔ほか〕
著者等紹介
松島俊也[マツシマトシヤ]
1957年1月26日、東京都生まれ。東京大学卒業後、ブレーメン大学(ドイツ)、カロリンスカ医科大学(スウェーデン)、上智大学、名古屋大学を経て、2007年から北海道大学教授(大学院理学研究院)。いろいろな動物の行動と脳の研究をおこなっている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ふわふわのねこちゃん
1
人も動物も心を定義するのは困難で行動からしか何かしらの意思を読み取れないというのでこのタイトルになったと思う あとがきがよかった 「良い行動だけでなく、悲惨な行動を通してたがいに影響し合い、ほかの動物や人間の行動に影響をあたえていきます。私たちは「心の共有地」というべき世界に生きているのです。このろくでもない共有地の中で、たがいを想像し続けていかなければならない、ということです」191p 言葉の端々に偏屈そうな感じがあって良い あと個人的には孤独に育ったコオロギは喧嘩で仲間を殺すというやつも面白かったな 2021/03/13
いっしー
0
「モネとピカソの画風を見分けるハト」「孤独に育つと攻撃的になるコオロギ」「仲間と血を分け合う吸血コウモリ」など「動物に心はあるだろうか?」をテーマに紹介される動物行動学者たちの最新研究成果。動物の行動を見つめ、その心のあり方を考えることは、動物の一種にすぎない我々人間の行動を考えることにつながり、とても興味深い。 もとは朝日小学生新聞の連載なので、理解しやすい平易な文章で書かれてはいますが、内容のレベルが低いわけではなく、大人でも十分に楽しめます。2013/07/07
penguin
0
タイトルに惹かれて読みました。先日、博物館で、鳥展を見てきて鳥について特に関心がありました。カケスやハトの実験は、日本のものは展示会で知ってたけど、海外でも同じような実験をされていた。結局"心"というのは合理性に基づいての行動なのかもしれない。本当にあるのかどうかは最終的には想像しましょう、と読者に託されている。想像する、人間というのも自分以外の人の心は想像でしかないわけで。もしかしたら人が"心"なんて思ってるものは全て合理性に基づいて、、、。心とはなんだろう。2025/03/06