感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Y2K☮
31
版元は夏葉社。明治大学で日本文学を学んだ編者が選ぶ16の掌編。いまは韓国でひとり出版社「夜明けの猫」を起ち上げ、24時間営業の本屋も運営しているらしい。リトルプレスを連想させる作りだと思ったが、あとがきを読んで納得した。芥川龍之介「蜜柑」以外はおそらく初読。平林初之輔「悪魔の聖壇」と伊藤野枝「遺書の一部より」が強烈だった。山川方夫「箱の中のあなた」はいつか「世にも奇妙な物語」で実写化しそう(もうなっているかもしれない)。詩と彫刻に関する高村光太郎の捉え方は、本屋で肉体労働をしつつ小説を書く自分にも頷ける。2025/05/26
かもめ通信
15
文庫サイズの上製本で、品があって手触りもいい、夏葉社らしい美しい本は、いずれおとらぬ読み応えの近代日本文学16作品+αを収録して読み応えもたっぷりという充実した1冊。編者のチェ・スミン氏は作家であり翻訳家であるだけでなく、ソウルでひとり出版社を立ち上げて自ら翻訳した日本文学のリトルプレスを出版し、さらには独立系書店をも営んでいる方。収録作品のうち既読はなんと4作だけだったということもあってどの作品よりも長い編者あとがきを含めて十二分に楽しめた。2025/06/09