山の上の家 - 庄野潤三の本

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  • サイズ A5変判/ページ数 226p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784904816288
  • NDC分類 910.268
  • Cコード C0091

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ちゃちゃ

119
滴るような緑の庭に開かれた書斎。机上には幾本ものステッドラー3Bのちびた鉛筆。天井まで壁面いっぱいに並べられた本棚の蔵書…。庄野潤三の「山の上の家」の写真に魅了される。ここからあの愛すべき作品群が生まれたのだと、じっと見入ってしまう。「それは敬虔でつつましい人生讃歌のようでもある」庄野の友人小沼丹が『夕べの雲』を評した言葉が引用されているが、まさに庄野文学の本質を射抜いた言葉ではないだろうか。まだ二作品しか読んでいないのに、なぜこれほどまでに彼の文章に惹かれるのか。その魅力の一端がわかったような気がした。2021/05/20

佐々陽太朗(K.Tsubota)

94
「山の上の家」が舞台となった庄野氏の晩年の作品において、充たされた「いま」の表現は切ない。ほほえましいが切ないのだ。取るに足りない日常がいかにかけがえのないものであることか。人が生きるのであるから辛いこと、悲しいこともあったに違いない。しかし庄野氏はその中に良きものだけを見ようとした。嬉しかった。楽しかった。おいしかった。キレイだった。そこには伴侶の、あるいは子どもたち、孫たち、さらにはご近所さん、友人の幸せを切ないほどに希求した姿がある。今日は2019年のお彼岸。「山の上の家」が一般公開される日である。2019/09/23

buchipanda3

93
夏の空、向日葵、遠泳、晩酌、野鳥、庭の木々、そして家族を愛した作家・庄野潤三を紹介する本。彼の作品で馴染みの山の上の家の写真や父を語る子らのエッセイ等を収録。私はまだ著書をさほど読んでないのに写真を見て、鉛筆削り!、百人一首!と声が出た。本棚にはインガルス家の本も。子供の前で鉄棒の大車輪をする姿に笑みが。どんな時でも食べる事がついてくるのが我家流という長女の言葉も納得。彼の作品の世界がいかに読み手に染み込んでいるか。自身の随筆でのびやかで生き生きした文章を好むとあるが、それは彼と妻の文体そのものと思った。2024/09/14

kawa

28
小説家・庄野潤三氏の「山の上の家」と呼ばれる生田の自宅写真に始まり、氏の文章作法、未発表小説、全著作案内、年譜等々、ベスト・オブ庄野の趣き。特に学徒出陣で人間魚雷特攻隊に選抜された状況を描く未発表小説「青葉の笛」の切迫感と何とも表現しずらい諦観の妙が印象的。この小説の後日談を描く「逸見小学校」も是非読みたい。大阪外語学校時代の氏の2学年後輩に司馬遼太郎氏が在籍していたことも初知り。(夏葉社の本)2023/05/26

二戸・カルピンチョ

21
この本で初めて庄野潤三にふれる。入手できる本をなるべく全部読みたいな。第三の新人と言われる作家たちがどことなく好きなのだが、三番手と揶揄する意味もあるなど知らなかった。単行本未収録という「青葉の笛」という短編がまた良かった。学徒出陣の頃の飾らぬ彼等なのだろう。その中で島尾敏雄が「鳥尾」という登場人物として出てきた。本作で三島由紀夫と庄野潤三の行く道の違いなどに触れていたが、島尾との行く道の違いも雲泥の差があるような。井伏鱒二と深く交友があったのも、良かったねぇと思う。2024/10/21

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