美しい街

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  • サイズ B6変判/ページ数 171p/高さ 17cm
  • 商品コード 9784904816226
  • NDC分類 911.56
  • Cコード C0092

内容説明

待望の選詩集。尾形亀之助(1900~1942)の全詩作から55編を精撰。

目次

幼年
明るい夜
いつまでも寝ずにいると朝になる
十二月
恋愛後記
ある昼の話
曇天
少女
昼の街は大きすぎる
白に就て〔ほか〕

著者等紹介

尾形亀之助[オガタカメノスケ]
1900年宮城県柴田郡大河原町生まれ。20年東北学院中学中退後、上京し、『色ガラスの街』(恵風館・1925)、『雨になる朝』(誠志堂書店・1929年)、『障子のある家』(自家版・1930)を刊行する。32年帰郷。42年没

松本竣介[マツモトシュンスケ]
1912年東京渋谷生まれ。22年父の郷里である盛岡に居を移し、一三歳で聴力を失う。29年盛岡中学中退後、画家を志し上京。都会風景、人物、建物を理知的な画風で詩情豊かに描く。48年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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ちなぽむ and ぽむの助 @ 休止中

160
街よ。わたしはあなたが好きなのです。ぽくぽくとあるいてはっと白い紫陽花、やわらかくチリガミが撒かれている。TI-TOTOTO-TO-雨きれて花火あがるももいろの空、咲く電燈の花いちりんください。何処からか夕餉のにおいがまじるこの時間は帰りたい、ここではない美しい街。電車の先ゆわえられたわたし(さようならせかい)あおく透きとおる暗闇。わたしたちはふたりが夫婦であることをたまらないほどうれしく思っています。美しい世界よ。わたしはあなたのことが好きなのです。2020/05/16

アキ

94
装丁も、紙質も、スケッチ風の挿絵も気に入って、倉敷の古本屋さんで買って読んでみたら、夏葉社の本だと途中で気づきました。尾形亀之助は1900年から1942年まで生きた宮城県出身の詩人。短い詩だけど、ありありと目の前に情景が浮かぶような、昭和初期に書かれたとは思えない親近感を感じる。雨の日の詩も好きだし、表題になった詩『美しい街』の中で「街よ 私はお前が好きなのだ。(中略)街よ 私はお前の電燈の花が一つ欲しい」電燈の花は真っ暗な心に暖かな灯をともすのです。記憶の中でいつまでも。やっぱり夏葉社の本はいいですね。2020/12/24

吉田あや

79
ぽつりぽつりと零れる言葉たちからあっという間に情景が立ち昇り、余白に宿る静かな想いは、時に傷つき、時に柔らかに笑う亀之助の姿へと像を結んでいく。『雨はいちんち眼鏡をかけて』。雨、夜、光、自然の中で世界を捉え直す発明家のようでもある亀之助はまさに「特別な詩人」という形容がしっくりとくる。DORADORA、TI-TATATA降る雨は、ガラスに無数の花を咲かせ、夕暮れに降り注ぐ花火となる。大人の眠れない夜は暗くとも、子供の夜は明けるのが待ち遠しいお菓子のような軽やかさと輝きをもって描かれる。(⇒)2021/10/17

KI

32
窓の外から洩れてくる灯りを見つめてしまう。いつまでも。外は寒いだろうか。そんなことを思いながら。2020/03/09

Y2K☮

31
夏葉社の詩集。余白の多いスペースに綴られた、眠れぬ夜のささやきの数々。装丁の色と手触りが静謐で心が透き通ってくる。添えられた松本竣介の絵も嬉しい。尾形亀之助を初めて知った。ここまで肩の力が抜けていてなおかつ後ろ髪を引かれる物書きはいそうでいない。さらに1900年生まれという事実に驚愕。その年代の日本にもこういう考え方をする人がいたのだ。時代国籍人種言語宗教職業出身性別。改めて大まかな選別がもたらす先入観だけで他者をわかった気になるまいと胸に刻んだ。能町みね子の巻末エッセイも素晴らしい。最高の人選だと思う。2023/08/03

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