レンブラントの帽子

レンブラントの帽子

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  • サイズ B6判/ページ数 154p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784904816004
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

nobi

99
「レンブラントの帽子」:少しばかりレンブラントの作品を齧った者にとって、このタイトルは魅力的。その17世紀の画家を巡る物語か?と思いきや、中年男性間の心のすれ違いから来る思い悩みの連続が意外。結末も意外。「引出しの中の人間」:人を救うのはいいこと。でもそれが自らの犠牲のリスクと引き換えだったら?そのジレンマが東西冷戦時代、ソ連に旅行した者に降りかかる。それもユダヤ人の連帯感が絡むから余計に面倒。その揺れ動きが次第に増幅して読む側の鼓動も早くなってしまう。「わが子に、殺される」:ちょっと痛々しい父子の関係。2020/07/11

キムチ

85
マラマッドらしい人間性への慧眼!得も言えぬ。表題作は二人の男の相克を緻密に描く。美術学校に赴任した彫刻家アーキン 一回り上の美術史担当ルービンと知り合いに。挨拶の声かけで関係性が捻じれ 屈折。言葉 表情が妄想の世界でネガに展開を続けていく。男の哀切・激情 ち密にうねる描写が見事。米文学最高峰に入る1冊と称されるだけある。他1中編1短編「引き出し…」も思惟に満ちた傑作。冷戦期、KGBの恐怖下のソ連。P104 抽斗から現れた小人が叫ぶ【お前たちは罪もない日本人達を虐殺したのだぞ、アメリカンスキー】の場面に→

アキ

81
3篇とも、これぞ短編ともいえる展開とラスト。『レンブラントの帽子』美術史家アーキンは同僚の彫刻家ルービンの白い帽子を誉めたつもりがその後無視される。言葉を交わさずに更に関係がぎくしゃくする。彼が謝った後に相手のとった意外な行動に心温まる。『引き出しの中の人間』1968ソ連を旅した私はタクシー運転手レヴィタンスキーに出会う。彼は作家であり短編をアメリカで出版してくれと頼まれる。4編の小説のラストがせつない。『わが子に、殺される』父親が自分で自分を孤独な人間にしてしまった息子に人生について諭す海辺でのラスト。2019/09/09

コットン

71
短編が3編。表題作が良く、帽子に関わる少しの食い違いが2人の精神に作用する心理劇。2021/10/03

星落秋風五丈原

63
美術史家のアーキンは同僚で彼よりも一回り年上の彫刻家ル―ビンが帽子を被っていたのを見て帽子を誉める。途端にル―ビンは表情を変えてアーキンを睨みつけ避けるようになる。帽子も姿を消す。アーキンは理由を思い悩むが、褒めたつもりなので段々むかむかしてくる。表題作は二人の男性の間に行き交う感情と言葉の物語だ。「行き交う」と書いたがル―ビンの内面は一切描かれず、そのため読者も理由のわからないアーキン同様「彼は一体何に不快になったのか?」を思い悩む。人とコミュニケーションを取るということは、傷を抜きには成立しない。2017/02/10

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