内容説明
ジョバンニは家に帰り、母に牛乳瓶を渡しながら、お父さんの帰還を知らせたあと、ぽつりとカンパネルラの行方不明を言うだろう。不思議な疲れのなかで眠り、夜明けにいつもの新聞を配りに行って、カンパネルラの家でザウエルに何て言うのかな。どんなに切なくても朝は来る。その朝を走れ、走れジョバンニ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
へくとぱすかる
42
青は爽やかで清々しい色。しかしまた哀しみの色でもある。原作を初めて読んだ日の、とてつもなく美しい色彩感を、目にも鮮やかに描いてくれた。もはや感激しかありません。しかも、ますむらさんは読者にそれ以上のプレゼントをしてくれた。それが最終の第4巻の仕掛けである。今は原作の鑑賞本文もほぼ同じだが、かつては多様な、誤っていたがそれなりに読めたディテールもあった。特に「例のあれ」。気になって仕方がないのに、研究者もあまり言及してこなかったのだが、ますむらさんは見事に期待以上のページを描いてくれて、4冊が宝物になった。2023/11/15
ぐうぐう
30
「(略)今振り返って見れば、「銀河鉄道の夜」は、まだまだ未完成な第四次の幻想のなかに、描けば描くほど新たに姿を変えて、永遠生の霧のなかに君臨している」あとがきでますむらひろしがそう書くように、四次稿を持って宮沢賢治が完成形としたわけではないのであれば、未完成の部分にこそ、賢治の、あるいは読者の想いを込めることは充分に可能だ。ますむらが四次稿では削除された黒い帽子の男のエピソードを断りを入れながらあえて挿入して見せたのには、忠実を目指すだけでは賢治の想いを汲み取れないとの判断があったからだろう。(つづく)2023/12/02
mahiro
18
ますむらひろし氏の銀河鉄道の夜は前のコミックス版、アニメ版も見たがこの全4巻が集大成の感がある。闇の中に白く輝く三角標の林、石炭袋の不気味さ、座席に影を残して消えたカンパネルラ、発光して現れるブルカニロ博士との会話、それは青か印象的なカラーページなのだが不思議な美しさに満ち寂寥感が残る。家庭教師と少女達、カンパネルラ、ジョバンニの想う本当の天上とはそれぞれ違うが死者達が乗る幻想四次の銀河鉄道から帰還したジョバンニはこれからどう生きるのか、未完で終わった原作のようにますむら氏の銀河鉄道も終わってないのか2024/03/02
寝子
3
蠍の気持ちが(分かっているか分からないですけど)よく分かるな、などと思いました。2023/12/22