著者等紹介
手島圭三郎[テジマケイザブロウ]
北海道生まれ。「しまふくろうのみずうみ」では絵本にっぽん賞を、「きたきつねのゆめ」はボローニア国際児童図書展グラフィック賞を、「おおはくちょうのそら」はドイツ児童文学賞絵本部門ノミネート賞など、数々の賞を受ける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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keroppi
75
手島圭三郎さんの動物シリーズ絵本は、ほぼ読み終えたので、次にアイヌ民話を絵本にしたシリーズを読むことにする。神の鳥・シマフクロウの力の凄さ。劇画的にも見える動きの大きい表現が、アイヌの人たちが崇めていた自然の力を見せてくれる。2021/12/19
よこたん
45
“ひきぬかれた木と、石や岩は、大なみにまかれて、シャチのむれをおそい、かわをやぶり、肉をきり、ほねをくだいた。” 神のいかりは、容赦なく、おそろしい。何故、自らいかりを招くふるまいをするのか。何故、年長者の言葉に耳を貸さないのか。アイヌの神の鳥シマフクロウの、荒ぶる心がおさまって、ほっと胸をなでおろす。手島さんの版画は、彫りあとも生生しく、加えて今作はどこか劇画チックで、もう迫力満点。読んでいて、ここまでゾワゾワと総毛立った絵本は、生まれてはじめてかもしれない。忘れられない一冊になりそう。2021/12/15
ちえ
44
シマフクロウもシャチもアイヌにとっては神。シマフクロウの神を敬わない若いシャチたちへのシマフクロウの神の怒りの凄まじさ。この本もまた手島氏の版画が素晴らしい。空に広がる雲は今の季節のような夏の海か。2021/07/22
yumiha
27
「カムイ」は神、「チカプ」は鳥の意味で「神の鳥」。アイヌの人たちは、シマフクロウをそう呼ぶ。「トロリンポー、トロリンポー」というサケヘは、フクロウの鳴き声のようでもあり、なんだか眠りに誘うような感じ。手島啓三郎さんの版画は、北海道の壮大さや自然の厳しさも、シマフクロウやイルカの動きも充分に表現しているし、世界的に有名な賞も得ておられる。でも、先日読んだ『ひまなこなべ』(どいかや)のかわゆさの方を、子どもたちは手に取るだろう。2017/02/09
shiho♪
25
図書室展示絵本 うわ~この版画の力強さに圧倒。この技法を用いたのがアイヌ民族の特徴とリンクしてる感じがいいです。 カムイチカプとは神の鳥を意味し、アイヌではシマフクロウのこと。若いシャチに悪口を言われ腹を立てたシマフクロウ。怒ったフクロウが翼を広げると山の上から風が起こり、山の木々を倒しながら海へ、シャチを懲らしめます。 トロリンポーなどアイヌ語の擬音?も取り入れており、直接アイヌの方から聴いてみたいなぁと想いを馳せました。2022/02/02