内容説明
横濱に建設された巨大なドックに、カンカン虫と呼ばれる下層労働者が船の錆落としのために打ちおろす槌の音が鳴り響く。月世界旅行にあこがれる少年ワタルと糸繰り工女の虹子。持たざる者たちは、カイウサギの投機ブームに翻弄されながら、陰謀うずまく国家事業にのみこまれてゆく。劇団・水族館劇場の野外舞台のために書き下ろされた、パノラマ冒険活劇。劇作家協会新人戯曲賞最終候補作「ソリテュード」を併録。
著者等紹介
乾緑郎[イヌイロクロウ]
1971年東京生まれ。小説家・劇作家。2010年『完全なる首長竜の日』(宝島社)で第九回「このミステリーがすごい!大賞」を、『忍び外伝』(朝日新聞出版)で第二回朝日時代小説大賞を受賞しデビュー。2013年『忍び秘伝』(文庫化タイトル『塞ノ巫女』)で第一五回大藪春彦賞候補。近年は作品の英訳版が発売され、中国のSF雑誌にも掲載されるなど、海外での評価も高い(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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