唱歌の社会史 - なつかしさとあやうさと

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  • サイズ B6判/ページ数 264p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784904678589
  • NDC分類 767.7
  • Cコード C0021

出版社内容情報

「唱歌」という、今までにはあまり類のない視点から読み解く日本近現代史。

ひろく愛唱されている文部省唱歌の数々には、近代国家としての「日本」および「日本人」をつくっていくという隠された目的がありました。

明治維新までは、ほとんどの日本人は「日本」「日本人」という自意識のないままに生きてきました。富国強兵策、植民地主義の中で、日本政府は、「日本人」という意識を国民に持たせる政策をとります。それが、国語読本、修身、であり、音楽=唱歌教育でした。

本書は、2015年におこなわれたシンポジウムをもとに、新規書き下ろし原稿を加えました。

今も人々に愛唱されている唱歌の数々を例示しながら、唱歌の成り立ち、植民地政策のなかで歌われた歌詞、戦後の占領政策のなかで黒塗りされた軍国的な歌詞、また官製の唱歌に対抗した「童謡」などをいとぐちに、国文学、社会学、法制史学、また詩人の立場から、近代日本の社会史を広くみていきます。

唱歌の愛好者はもとより、音楽教育、歴史教育の実践者、また、研究者にもおすすめいたします。

取り上げる唱歌は、「庭の千草」「故郷」「我は海の子」「早春賦」「蛍(蛍の光)」「あおげば尊し」「春の小川」「霞か雲か」「夏は来ぬ」「朧月夜」「浜辺の歌」「兵隊さん」「故郷を離るる歌」「里の秋」「故郷の廃家」「鉄道唱歌」ほか。

はじめに 永澄憲史 



1 唱歌集 解説 中西光雄 

   庭の千草

   故郷 

   我は海の子 

   早春賦 

   蛍(蛍の光) 

   あおげば尊し 

   春の小川 

   霞か雲か 

   夏は来ぬ 

   朧月夜    

   浜辺の歌 

   兵隊さん 

   故郷を離るる歌    

   里の秋 

   故郷の廃家    

   鉄道唱歌



2 座談会 「唱歌 なつかしさとあやうさと」

   軍国主義と唱歌 

   荒地から出発した戦後詩 

   日本人の空間心性と唱歌 

   満洲唱歌と北原白秋 

   国民国家と唱歌 

   皇民化教育と唱歌 

   唱歌から童謡へ 

   兵隊さんはきれいだ、兵隊さんはかっこいい 

 「故郷の廃家」と硫黄島の玉砕 

 コラム・ミュージシャンより

  歌で導く子どもたちの明日 中西圭三

  命を大切に、人を思いあう美しい心を歌っていきたい 野田淳子

  一緒に歌うこと、そして今…… 佐久間順平  



3 唱歌の社会史  中西光雄 

4 童謡はいかに唱歌にあらがったか 白秋の場合  河津聖恵 

5 唱歌と空間心性そして植民地  山室信一

むすびに 「うた」のなつかしさとあやうさ 近代日本社会と「国民意識」 伊藤公雄

伊藤 公雄[イトウ キミオ]
著・文・その他

河津 聖恵[カワヅ キヨエ]
著・文・その他

中西 光雄[ナカニシ ミツオ]
著・文・その他

永澄 憲史[ナガスミ ケンジ]
著・文・その他

山室 信一[ヤマムロ シンイチ]
著・文・その他

佐久間 順平[サクマ ジュンペイ]
著・文・その他

中西 圭三[ナカニシ ケイゾウ]
著・文・その他

野田 淳子[ノダ ジュンコ]
著・文・その他

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

へくとぱすかる

64
明治以来、学校音楽で教えられてきた「唱歌」をなつかしく、肯定的に捉える人は多いが、サブタイトルの通り、日本の近代史のマイナス面と結びついた「あやうさ」を伴っている。元々、軍国主義や立身出世などを推進する歌を、戦後差し止めずに、問題箇所を省略することにより、一部は引き続き歌われてきた。今、このような時代になったからこそ、そのような音楽史があったことは伝えるべきだと思うし、覚えておきたい。「ねじまがった善意」を押しつけることの二度とないように。2020/02/13

みつ

15
読み友さんに教えていただいた素晴らしい本。誰もが幼い頃の記憶とともに口ずさむことのできる「唱歌」。そのなつかしさに潜むナショナリズムへの巧妙な誘いを読み解いていく。思い出せば、半世紀以上前の自分の小学校時代には「お山の杉の子」が音楽の授業で教えられていた。その後半が軍国主義の賛美であることは数年後には知っていたし、『我は海の子』も冒頭からどこかマチスモの匂いが強かったので、こう続くのは初めて知ってもやはりというべきか。驚いたのは『蛍の光』の第三連以下。『里の秋』歌詞の後半の内容、戦前からの改変にも。➡️2022/11/10

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