感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
スミス市松
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先行する作家たちに対して、ときに文を写経し、呼びかけ、同化すら試みるこの著者は、いわば〈書きながら読む〉という究極の読書の形を目指している。「今や、この文の豊かな意味は完全に開かれた」――そう宣言できるだけの徹底的なテクストと自己の対話の姿勢に貫かれている。確かに当時の彼はまだ若く、扇動的で、人生を知らない青二才だ。だが、そんなのは全然関係ない。ここには人が読書するときの最も根源的な姿を見出せるはずだ。思い出せ、ここからやり直さなければ。たとえあなたが明日死ぬとしても、やり直すのを禁じる者など誰もいない。2022/08/27