内容説明
世界に衝撃を与えたドイツの劇作家ハイナー・ミュラーの戯曲『ハムレットマシーン』(1977)と、これを縦横無尽に読み解いた多和田葉子「ハムレットマシーン(と)の“読みの旅”」(1991)。その関係性をめぐり、万華鏡のように展開される、気鋭の論者たちによる8つの論考。そして、書き下ろし上演台本「ハムレット・マシーネ 霊話バージョン」(2019)と、多和田/ミュラーの「演劇世界」に挑み、共振する演出家たちによる、4つの演出ノート。
目次
第1部 Relekt¨ure―再読行為としての“読み”(ハムレットマシーン(と)の“読みの旅”―ハイナー・ミュラーにおける間テクスト性と“再読行為”
わたしが修論を書いた頃
多和田葉子のヴァルター・ベンヤミン―言葉の魔術ともう一つの世界
“ジェンダー・トラブル”の清算から生産へ―多和田葉子によるHM再読
玩具と言語魔術―多和田葉子における“読み”と“遊び”
多和田文学における“翻訳”の位相―多和田葉子研究の広がりと深度
多和田作品の演劇化―劇団らせん舘の多言語演劇による新たな演劇空間の創出
父との別離―ハイナー・ミュラーの原風景
もうひとつの自由のダンス―多和田葉子とピナ・バウシュ
「わたしたち」の健忘症、あるいはエクソフォニーが開く“夢の脈絡”―地点・HM・多和田葉子)
第2部 Homo Theatralis―演劇表象の現場から(晩秋のカバレット ハムレット・マシーネ―霊話バージョン;多和田葉子のことばを聴く―『動物たちのバベル』を上演して;『オルファイオスあるいはイザナギ』に取り掛かるにあたって;地点の『ハムレットマシーン』;やなぎみわの神話機械 MM(Myth Machines))