内容説明
ベトナム戦争の混迷が続く一九六七年、二六歳の若き詩人が放った思想闘争の書。ハイデッガー思想との対話/対決を通じ、ベトナム戦争の窮極的原因を西洋形而上学と見定めた著者が、祖国の底に流れる東洋の叡智をもって、西洋近代が忘却してきた“存在”の覚醒を訴え、一切の思弁を破壊して、洋の東西を越えた人類共通の故郷たる“深淵の沈黙”への路を提示する―時代の閉塞に挑んだ、孤高の思想を初邦訳。
目次
高峰と深淵のはざまを行く
第1章 背理帰結法―弁証法破壊の道
第2章 毀滅道―ヘラクレイトス、パルメニデス、エックハルト、ニーチェ、ランボー、ハイデッガー、ヘンリー・ミラーを通じての西洋思想毀滅の道
附録 ランボーの歩みの上に
信条
ニーチェの沈黙への回帰
跋―深淵の沈黙 結論
著者等紹介
ファム・コン・ティエン[ファムコンティエン] [Pham Cong Thien]
1941年、ベトナム南部ミィトー生まれ。詩人、思想家。小学校を退学後、10代半ばより執筆活動を始める。評論集『文芸と哲学における新たな意識』(1964年)、詩集『蛇の生まれ出づる日』(1966年)、思想書『深淵の沈黙』(1967年)、小説『太陽などありはしない』(1967年)といった1960年代半ばより発表された一連の著作によって、ベトナム戦争当時の南ベトナムで話題となり時代の寵児となる。1966年から1970年まで仏教系私立大学万行大学文学・人文科学学部の学部長を務める。1970年に南ベトナムを去るのと同時に断筆。1975年から1983年までフランスのトゥールーズ大学で西洋哲学の助教授を務めた後、アメリカに移住。1987年に執筆活動を再開し、文学・哲学・仏教思想に関する多くの著作を発表。2011年、テキサス州ヒューストンにて没
野平宗弘[ノヒラムネヒロ]
1971年生まれ。東京外国語大学大学院総合国際学研究院講師。専門はベトナムの文学・思想(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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