『焼き場に立つ少年』は何処へ - ジョー・オダネル撮影『焼き場に立つ少年』調査報告

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  • サイズ B6判/ページ数 106,/高さ 20cm
  • 商品コード 9784904561737
  • NDC分類 916
  • Cコード C0031

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

しいたけ

98
米占領軍兵士ジョー・オダネル氏が長崎で写した『焼き場に立つ少年』。事切れた幼い弟を負ぶい焼き場にやってきた少年の立ち姿は、見るたび胸に迫ってくる。この写真の場所や人物が特定できないことが、正しく原爆の悪を認めない論調の一因ではないかという。事実を丹念に調べ積み上げることが、写真の意味を考えることに繋がる。「意味の中に少年はいる」という吉岡氏の言葉の重さ。少年を調べれば、投下後に確かにあった有り得ない悲劇の存在を浮き彫りにする。この少年が自分の息子でも、原爆投下は戦争を終わらせる為に必要だったと言えるのか。2018/08/22

kawa

40
来日したローマ法皇がこの写真をカードにして、メッセージと共に信者の方々に配られ話題となっている。本書はこの写真の少年を追った著者の5年に渡る調査の詳細と、写真を撮った元・米海兵隊のジョー・オダネル氏の様々な文章とで構成した労作。写された場所や少年が誰であるか謎の多い写真とのことだが、本書においてもその結論は明らかとはなっていない。しかし、本書を辿ることによって当時の長崎の悲惨な現場を追体験でき、「次の世代のために考察した」とする著者の意図は充分に成功している(縁あった著者から頂いた私家版で読了)。 2019/11/25

あじ

33
原爆投下直後の広島・長崎を写真で記録したオダネル氏が、43年後に発表したのが『焼き場に立つ少年』でした。息絶えた弟をおぶって焼き場で直立不動する姿を捉えた一枚。少年は誰なのか追跡調査したのが本書です。著者吉岡氏は「少年の所在を探すのが目的ではなく、意味の中に少年はいる」と仰っています。オダネル氏は言います。「未来は平和でなければならない。平和なくして未来はありえないのだから」と。自らも原爆後遺症に苦しみましたが、ついにアメリカは認定しなかったそうです。事実を後世に伝えてゆく使命感に強く胸を揺さぶられました2014/03/07

つちのこ

15
長崎原爆資料館でこの写真を初めて見た。それ以来ずっと脳裏にあり、NHKの番組での放送が重なったこともあり、少年は誰なのか、どこで撮影されたのか…という疑問が私の中で続いていた。本書は少なからずその疑問に答えてくれたが、それ以上に感動したのは写真を撮った元海兵隊員のオダネル氏の活動である。原爆投下を正当化するアメリカ世論のなかでの写真展や日本国内での講演、展示、出版等、まるで罪を償うような真に迫った動きがそこにあった。偶然にもこの写真が撮られ日の目を見たことは、図り知れないほど大きな意味を持っている。2021/08/24

rokoroko

13
長崎の原爆資料館にいき展示の最後にこの写真を見た時泣いてしまった。すくっと立った少年が背中の弟を火葬する順番を待っている。この写真は原爆投下後しばらくトランクの中にしまいこまれていたそうだ。少年の写真はいつ、どこで撮られたものかを追いかけたルポ。こんな時代が再びあってはならないと思った2018/03/25

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