内容説明
生まれ落ちた瞬間から絶え間なく老いてゆくことが人生です。しかしその絶え間ない変化を、我々は見ません。物質も心も、一切の現象は一時的に成立しているにすぎません。存在は「無常」で成り立っています。何もかもが、瞬間瞬間違うのです。仏教では、物質は同じ速度で変化していくといいます。そしてすべての生命の心は、物質よりも速く、同じ速度で変化します。ブッダが発見した「無常」の本当の意味を明らかにして、日本人の無常観を根底から覆す、画期的名著。待望の新書化。
目次
ブッダは、「あなた」の幸せを願ったのです。
第1章 「ある」から生じる大失敗
第2章 それは「無常」ではありません
第3章 悟らなくても役に立つ
第4章 無常の世界の予測術
第5章 死を認めれば幸福になる
著者等紹介
アルボムッレ・スマナサーラ[アルボムッレスマナサーラ][Alubomulle Sumanasara]
スリランカ上座仏教(テーラワーダ仏教)長老。1945年4月、スリランカ生まれ。スリランカ仏教界長老。13歳で出家得度。国立ケラニヤ大学で仏教哲学の教鞭をとる。1980年に来日。駒澤大学大学院博士課程を経て、現在は(宗)日本テーラワーダ仏教協会で初期仏教の伝道と瞑想指導に従事している。朝日カルチャーセンター(東京)の講師を務めるほか、NHK教育テレビ「こころの時代」などにも出演(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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booklight
39
仏陀の教えの根本を『無常』と説く。無常は、常は無く、常に変化していること。なので現在は常に変わり続け、自分も常に変わり続ける。なぜそれに気づかないか。それは観察力がないから。自分の感情の揺れ動き、思考の連鎖に気づかないから、自分が存在すると誤解して、固執する。この気づきを体感しないと信じることはできない。観察力をつけるには瞑想で鍛錬。感情に左右されず、妄想に取りつかれず、自分を静かに見ることができるようになると、無常が見えてくる。ブッダの教えを事実、科学と言い切る。科学が追い付くのはいつなのだろう。2020/11/28
テツ
15
世界にも自分自身にも決して拘るな。森羅万象は流転する。諸行無常の言葉通り世界は一瞬たりとも同じ姿で在りはしない。次に現れる世界がどんな姿をしているかなんて誰にも解らず、次の瞬間にあなたがどうなっているのかあなた自身にも解らない。そんなあやふやな存在の中で確固とした何かを手にしようとするからみんな苦しむ。全てを覚悟して受け入れること。その上で心を尽くすこと。変わり続ける世界の中でこの瞬間に全てを込めること。2020/05/10
HIDE
10
後半に書かれている、無常と因縁の関係についてが興味深かった。著者の別の本を読んでいるときに無常と因縁にはなにか関係があるらしいとは思ったのだが、別の目的で読んだこの本でそれについて解説と巡り会えて幸運だった。2012/05/24
vip2000
6
【殿堂入り】仏教と謂えばお葬式やお墓参りの行事しか思い浮かばないのが現代人の生き方でしょう。徳川幕府の施策で真理を追究する姿勢が形骸化されて、今は禅宗あたりが細々と人々を啓蒙しているくらいでしょうか?三毒『無智・怒・欲』が仏教的な心の教導とすれば、三相『無常・無我・苦』は仏教的世界観です。本当は日本人が現代の苦悩を仏教の立場からわかりやすく解説&教導すべきです。しかし、人物が居ないですね。スマナサーラ長老の解説は事例が面白いので、飽きません。2017/09/21
やまえつ
6
ブッダの教えを無常という観点から語った本。特に日本人が抱いている無常観が全く勘違いであることは、口が酸っぱくなるくらい述べている。無常でないものは存在しないという言葉になるほどと思った。2009/09/22