感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とくけんちょ
35
最近の再審ブームもあって、再審請求中の事件に興味を持った。自供の重み、それを覆すだけの証拠。この事件も、いわゆる供述弱者に対する取調べ、そして自供が判決の核となっているようだ。新たな供述心理学による分析、死体写真からの分析。もう何が真実かわからないが、このブームに乗って再審への扉を開くことはできるのか。2024/10/25
ねお
17
大崎事件は鴨志田先生の人生そのものである。先日,鴨志田先生が京都弁護士会に登録替えされるとの報に接し驚いていたが,本書を読み,第三次再審請求に対する再審開始決定を最高裁が取り消した後に事務所を閉所し登録替えすること決意された経緯に,心が痛んだ。鴨志田先生の情熱とパワフルさには驚くばかりだが,大崎事件の弁護活動や再審法改正に向けた活動に多く人が集まるのは,鴨志田先生の人間力からだろう。41年間はあまりに長い。6月3日に94歳になるアヤ子さんの命の灯と共に闘う弁護団に敬意を表し,アヤ子さんの長寿を切に願う。2021/03/23
おおかみ
10
名物弁護士の一代記の形を取りながら、著名事件「大崎事件」の経過を辿り、日本の司法が何十年もの間抱える数々の問題点を浮き彫りにする。約700頁の大著だが、それはとりもなおさず、この事件が40年を超える月日を経ても「開かずの扉」に阻まれている現実を意味する。それでもなお第4次再審請求はようやく地裁決定を控える段階で、この先も再審開始確定まで争われる可能性があるのだ。本書が遍く読まれ、法改正が実現したその時、ようやく近代国家と名乗れるのだろう。2022/05/24
sasha
5
2023年6月5日、第4次再審請求も退けられた。この国に正義はあるのか。冤罪を叫び続ける人を、救済する気はあるのか。司法は請求人の死を待っている。私にはそうとしか思えない。怒っ!2023/06/08
UP
4
労作。700ページ程度だが、えん罪によって根こそぎ人権を奪われ続けている人々と、人生をかけて支援し続ける人々の臨場感ある話は繰る手を止まらなくさせる。弁護団の中心にいる筆者の語りの力。周りの凄腕弁護士の視点でも補記があるとなお面白かった。内容については、大崎事件についてもかなり詳しくなることはもちろん、再審手続きの問題点や刑事司法に関する多くの問題も事例を通してよくわかる。一番は再審請求の手続き法の不足。日本の刑事司法は様々な点で問題が残るが、一歩一歩であり、こうした人たちの営みがその一歩であると痛感。2021/07/28
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