内容説明
近親姦虐待を生き延びた女性作家のオートフィクション。
著者等紹介
佐藤亜有子[サトウアユコ]
1969年岩手県生まれ。東京大学仏文科卒業。『ボディ・レンタル』が第33回文藝賞優秀作となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
38
とても苦しい作品でした。深い傷がここにはあるのです。ここまで自分と向き合い、明確に分析することそのものが悲劇としか思えません。現在進行形で苦しみの中に居続けることで自分の人生の幕引きを閉じてしまったことが辛かったです。身体中に衝撃が走る作品でした。2024/10/30
Maki Uechi
11
以前「ボディ・レンタル」を読んだ時に(この方はもしや)と思ったことをはるかに上回る外傷体験が刻まれていました。強い破壊衝動。求めては壊す自傷行為のような恋愛。それを書くということは生きるための祈りだったのかもしれない。祈りや願いを文学として昇華させて生きていくことができたらよかったのにな。苦しいね。苦しいよ。2014/09/09
n75
6
近親相姦、幼児虐待の本は様々読んでいるが、東大出インテリ作家の自叙伝的作品ということでこれまで読んだエッセイやノンフィクションに比べて更に生々しく、切実な文章だった。ラストシーンは本著では作者自身の遺体が花々に囲まれ弔われるという希望が伺える終わり方だが、その後の作者の顛末を鑑みると、最後まで救われることはなかったんだと思われる。彼女の経験と傷がフィクションという形で描かれているだろう他作品も読んでみたい。2014/03/29
世玖珠ありす
5
【ボディ・レンタル】から始まる数々の作品の裏側に、こんな過去と日常があったのかと驚かされました。彼女の作品は、読んでいないモノを数えたほうが早いくらい、出版されるたびに読んできましたが、今、あらためて読みなおしたい気分です。一体、何を読んできたんだろうと。作中にある彼女の言葉に「まさかフィクションの背景に、こんな事実が隠されていたなど、わたしと類似の経験を持つ敏感な読者の方々にしか、想像できないことだったろう」とあります。まさに、私は幸せで鈍感な読者だったのです。2016/07/09
ワイルドストロベリー
5
一見きちんとした父親が娘に性的虐待をして、娘の人生を破壊してしまう。あまりの凄まじさに驚きと怒りを覚えた。やっと治療に明るさが見えたように思えたのに、アルコール、薬物により佐藤さんがお亡くなりになったということは、やはり、乗り越えていくにはあまりに過酷すぎたのだと思う。娘の人生を捻じ曲げた父親はどんな思いでいるのだろうか。2014/07/16
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