内容説明
政治的要請に応える市場と経済合理性を追求するべき市場―2つを白と黒に塗り分けることはできるのか。
目次
銀行業の経営モデルは壊れているのか
第1部 企業金融は甦るのか(信用保証制度は善か悪か;金融円滑化法と「三方一両損」;成長力のある企業のために)
第2部 公共金融の民営化は進むのか(日本の自治体は事業会社の顔も持つ;自治体こそ洗練された財務スキルを)
第3部 個人金融をモノにできるのか(消費者金融は善か悪か;住宅ローンは収益分野であり続けられるか;「貯蓄から投資へ」を実現するには)
銀行はもっと主張すべきではないか
著者等紹介
大庫直樹[オオゴナオキ]
1962年東京・堀切菖蒲園生まれ。1985年東京大学理学部数学科卒。同年マッキンゼーに入社、99年パートナーに選出、それ以降リテールバンキンググループのリーダー。メガバンク、地銀からカード、信販、消費者金融に至るあらゆる金融機関の経営改革に携わる。2008年独立してルートエフ(株)を創設、代表取締役に。2009年より大阪府特別参与。2011年よりプライスウォーターハウスクーパース株式会社、パートナー。2009年より2011年まで大阪府特別参与、2012年より大阪府市統合本部特別参与に(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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koji
2
本書では、信用保証制度、公共金融、個人金融ごとに、一般読者には馴染みが少ないが「銀行業の行動の本質である事象」を明快に斬っていきます。「政治と経済」「ウチとソト」「規制と自由」が対立する世界です。著者は数理モデルを駆使した合理性による線引きを主張し、一理あると感じました。一方どの世界も、その背後には、おそらく明治まで遡るシステムと日本人気質があり、片を付けるのは容易ではない気がします。しかしその苦労は乗り越えなければならないでしょう。この分野は意外と論者が少ないので、著者には更なる深掘りを期待します。2013/06/29
リョウ
1
規制と既成概念によってがちがちに固められた銀行の業務について、この先銀行が社会において役立つためには、そして低金利の時代で収益をあげていくためにはどうしたらよいのか。保証協会融資など、安易な方向に流れていくことで本来鍛えられるべき融資のための審査力が弱まっているなど、普段とは別の目線でも考えてみたい。2014/08/19
SADA
0
銀行がとるべき処方箋は容易にみいだせないことを共感しました。2014/10/14
h t
0
なんか一巻よりだいぶ難しい話よね2013/05/24
nkmr48
0
氏自身が90年代当初銀行を始めとする金融コンサルティングに従事していた事もあり可也内実に詳しく、『政治と金融』という極地から銀行業に付いて見解を述べて居りその提言も示唆に富んでいる。大別して①信用保証協会及金融円滑化、②地方債、③住宅ローンカードローンを始めとする個人ローン、④貯蓄と投資に章立てされて居る。①では他先進国と比較した我が国の中小企業支援が多分に感情的な議論に立脚して居り、且ガバナンスも欠如している事から本来は支援が不要な良好な企業にも税金が投入されるというモラトリアムに満ちている実態に対し問2013/05/12